習近平の甘い言葉に乗った「インドネシア高速鉄道」の末路…日本と組んだ「台湾高速鉄道」と明暗を分けた決定的な違い
中国主導で2023年10月に開業したジャカルタ―バンドンを結ぶインドネシア高速鉄道(Whoosh)と、2007年から日本の新幹線技術を中核に運行を続ける台湾高速鉄道(THSR、通称・台湾新幹線)は、対照的な軌跡をたどっている。その決定的な違いは日中の根本的な思想の違いにあるという――。(イトモス研究所所長 小倉健一)
インドネシア高速鉄道と
台湾高速鉄道で「明暗」
「高速鉄道建設で、インドネシア政府の予算は一切使いません。借金の保証も求めません」――耳を疑うほど甘い言葉が、2015年にインドネシアへ投げかけられた。中国が高速鉄道計画に持ち込んだ提案である。
それから10年。中国主導で2023年10月に開業したジャカルタ―バンドン高速鉄道(Whoosh)と、2007年から日本の新幹線技術を中核に運行を続ける台湾高速鉄道(THSR、通称・台湾新幹線)は、開業時期こそ16年離れているものの、対照的な軌跡をたどっている。
首都ジャカルタとバンドンを結ぶこの計画は、もともと日本が長い時間をかけて事業化調査を重ねてきたものだった。日本側の提案は、政府の債務保証を前提とした金利0.1%の円借款という極めて低利の条件である。
しかし2015年、中国が土壇場で日本案を覆す提案を持ち込んだ。「インドネシア政府の予算投入も債務保証も一切要らない」という事業対事業(B2B)スキームである。財政赤字の拡大を避けたいジョコ・ウィドド政権にとって、この条件は渡りに船とばかりに映り、中国案が選ばれた。
事業主体としてインドネシア国有企業4社のコンソーシアム(PSBI)が60%、中国企業連合が40%を出資する合弁会社KCICが設立され、資金の約75%は中国国家開発銀行(CDB)からの融資で賄われることとなった。
インドネシア政府は
国家予算の追加投入
ところが「政府は金を出さない」という当初の約束は、工事が始まると次々とほころびていく。
