《宇都宮のクマ》「基本的には殺処分される」バシャーンと人間のように泳ぎ、街中を走ったクマに市民は大混乱「店はガラガラ」「休校で子どもはヤッター…だけど」現場ルポ

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走る、泳ぐ、よじ登る。市街地へのクマの出没が相次いでいる。昨年度の人身被害は過去最高を記録したが、冬眠が明けた今年度は住宅地や市街地での目撃が相次ぎ、社会生活への影響が確実に広がっている。

【画像】麻酔銃に撃たれぐったりと仰向けになった巨大クマの写真、水路でスイスイと泳いだり街中を走ったりする画像も

6月に入ると栃木県宇都宮市の中心部で数日間にわたって目撃情報が頻発。同9日には住宅の敷地内でオスの成獣一頭が麻酔銃で撃たれて捕獲されたが、複数個体の可能性も指摘されている。厳戒態勢の続く宇都宮市で、記者がクマの足跡(そくせき)を追った。

「夜をメインにしているお店はお客さんが減った」

クマによる人身被害に限れば、環境省が4月に発表した2025年度は速報値で238人(うち死亡13)となり、過去最高とされた2023年度の219人(うち死亡6)を上回った。

今年度に入ってからも4月に岩手県内でクマに被害を受けたとみられる女性の遺体が見つかり、5月にも岩手県と山形県でそれぞれクマに襲われたとみられる男性の遺体が見つかっている。さらに6月に秋田県でも女性の遺体が見つかった。

出没件数(北海道は非公表)でみれば2023年度が2万4348件だったのに対し、2025年度は5万801件と2倍以上になっていることから、クマが人目につくエリアにじわじわ生息域を広げていることは明らかだろう。

この5月には宮城県仙台市の東北大学青葉山キャンパスや仙台城跡付近で目撃情報が相次ぎ、東京都内でも多摩エリアでは住宅街に近い場所に出没するなど、人が多く住むエリアに現れる傾向が強まっている。

しかし、6月6日に宇都宮市に出没が確認された地点は、これまでとは一線を画すほどの繁華街だった。しかも縦横無尽に行動するクマの姿が直接目撃されたり、防犯カメラに映ったりし、全国のお茶の間を震撼させた。

東武宇都宮駅直近の「宇都宮オリオン通り商店街」振興組合の関係者は取材にこう証言した。

「宇都宮市でも山の方ではクマが出たという話は聞いたことありましたが、街中、ましてやオリオン通り商店街でクマが出たなんて話は聞いたことありませんでしたし、考えたこともありませんでした。学校も休校になって大変な状況ですが、実際、クマと遭遇したら恐怖ですよね。

オリオン通り商店街は昼間に関しては極端にお客さんが来なくなったという話は聞きませんが、一連のクマの報道が始まってから居酒屋さんなど夜をメインにしているお店は『お客さんが減った』という話はしていました。

一頭は捕獲されたとのことですが、複数いるかもしれないって報道もありますし、そのあたりが早くはっきりわかってほしいですね」

記者がオリオン通り商店街を訪れたのは、捕獲翌日の10日午後。同商店街の70代女性商店員は不安そうにこう語った。

「今日に関しては人が少ないって感じはありますね。いつもならもうちょっと人の往来があるから減ったは減ったんでしょうね。オリオン通り商店街の防犯カメラの映像見ました? そうそう。昨日まではクマが走っていった通りを見にくる人たちが多かったけどね。なんだってこんなところにクマが出るんだか本当に怖いわよねえ」

「本当、人間みたいにバシャーンって…」

テレビのニュース映像でも再三報じられたが、クマは用水路を泳ぎ、堤防をよじ登って上がった先の袋小路の住宅街に追い詰められた。そして民家の敷地内で、獣医に麻酔銃を撃たれ捕獲された。近くに住む男性は興奮気味にこう語った。

「ちょうどお昼休みの時だったのですが、近所で『クマがいるから家の中に入ってくれ』と騒いでる人がいて事態を把握しました。

外に出るとあたりが騒々しいので用水路の方に行くと、対岸の家の庭というか、敷地の脇をクマが移動しているのが見えました。表側が袋小路になっている住宅街で、そこに警察官や猟友会の人とおぼしき服装の人たちがグルグル周っていました。

クマはそれに気づいて敷地内を逃げているように見えました。人がいる表に出ようと思えばすんなり出られるんだけど、熊は表には行かずフェンスをよじ登って用水路に飛び込んだんです。本当、人間みたいにバシャーンって。

その後、泳いで行ったけど、水門を越えられなかったのか、泳いで引き返してきて壁をよじ登って表の方に出ていきました。後で気づいたんですが、ウチの庭にクマの足跡があって、一歩間違えれば時間的に鉢合わせしていてもおかしくなかったんです。いや、本当恐ろしいですよ」

近くに住む女性は祈るようにこう話した。

「クマが捕獲された方のおうちの近くにはパトカーがたくさん止まって、猟友会の方たちや大勢の人があたりを包囲していました。クマがいるから危険だから家の中に入れと指示されてから、1時間以上は経っていたと思いますが、クマが軽トラに乗せられて運ばれていくのを見ました。

何かをかぶせられていたので顔とかは見えませんでしたけどね。ここに何十年も住んでますけど、これまでクマなんて出たことないんですよ。だから複数のクマがいるんじゃないかと言う人もいるけど、私はあの一頭だけなんじゃないかって思っています」

「子供は学校が休みになったことを『やったー』って喜んでいます」

クマ騒動の余波で、宇都宮市立の小中学校は10日も全校が休校になった。中学生の保護者はこう話した。

「正直言うと子供は学校が休みになったことを『やったー』って喜んでいますよ。一応今日(10日)まで休校ということは聞いていますが、その後のことは私はまだ聞いていません。親とすればクマが出ているとなればやっぱり心配ではありますよ。最初はここから10キロくらい離れた雑木林があるエリアで目撃情報が出ていました。

でもこの辺は雑木林もない住宅街ですし、こっちまではこないだろうと思っていました。そしたら近くでクマが捕獲されてこの騒ぎですからね……。本当驚きました。休校の影響で運動会も延期になってしまったんですよ。一応、16日に行なう予定ですけど、それもダメだと今度は中止になってしまうんです。運動会に関しては楽しみにしているんですけどね……」

クマと運動会なんてシャレにならない事態は絶対に避けなければならない。市役所職員によると、9日に捕獲されたクマは「基本的には殺処分される」という。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班