GK転向わずか5年半――C大阪トップ昇格内定のイシボウ拳が秘める特大のポテンシャル。期待の大器が飛躍を誓う「1年目からスタメンに」
高校2年生だった昨年からトップチームに2種登録され、先月末には来季からのトップチーム昇格も発表。ナイジェリア出身の父と日本人の母を持つ守護神は、C大阪の将来を担う存在として期待されている。
ただ、当時から同年代の選手よりひときわ高かった身長が目に留まり、C大阪U-15からGKとしてのオファーが届いた。慣れないポジションでの誘いだったが、「セレッソは楽しそうだったのでチャレンジしてみようと思えた」と迷わず加入を決断する。
加入した当初は「最初は難しさしかなかった。周りのみんなはレベルが高いので、ついていくので精いっぱいでした」と振り返るが、中学1年生の時点で184センチもあった原石の成長をクラブはサポートした。
「セレッソはみんなのレベル高い。遠征を含めて、色んな経験をさせてくれたし、いいスタッフと環境も揃っている。経験を積むうちに少しはついていけるようになった」
最後尾でプレーし続けるうちに、ビッグセーブでチームを勝たせる守護神としての楽しさを感じていったという。
高校入学後は195センチまで身長が到達。昨年はシーズン開幕から2種登録されると、今年は開幕前に行なったトップチームのタイ合宿にも帯同した。「トップチームはスピード感やフィジカル面がユースとは全く違った」と口にするように、いち早くプロの基準を知れた価値は大きい。
「キャンプに行かせてもらった時はキム・ジンヒョン選手、福井光輝選手、上林豪選手の3人がいたのですが、全員に違った良さがあった。ジンヒョン選手は圧倒的な足もとがある。それに経験が凄いので安定感がある。
上林選手は味方を鼓舞する声掛け。みんなが下を向いても元気が出るような声掛けをして、とにかく元気を出してくれる。当然セービングも凄い。話す機会が多かったのは福井選手。キックの仕方やポジショニングについてアドバイスをもらった」
また、練習前は早くきて身体を動かし、練習後は身体のケアも怠らない。トップチームの選手が当たり前に行なうルーティン作業も、サッカーと向き合う意識を大きく変えた。
「プロでもどうやってサッカーに打ち込むか考えているので、ユースの選手もやらないとプロになれない。うまくユースにも取り入れて、自分だけでなく周りの人も引き連れて良くなっていきたい」
トップチーム昇格後を見据え、家族の食事のサポートを受けながら体脂肪を減らし、筋力量を増やすことで大きくても素早く、力強く動ける選手への変貌を目ざしている。また、最近は課題だったキックの飛距離を伸ばすために練習前後の時間を活用し、自主練にも励んできた。自身が持つ素材を素材として終わらせないようにする真面目な性格も彼の魅力だろう。
GKに転向して、まだ5年半ほどとあって、伸びしろを多く残している。トップチーム昇格はポテンシャルが評価された先行投資の意味合いもあるが、本人に気後れした様子は見られない。
「サッカーはメンタルが一番大事。キーパーのレベルは全員高いけど、最初からベンチ外というつもりはない。1年目からスタメンに食い込む気持ちは当然あるし、自分が試合に出て勝たせる自信もある。弱気になったら絶対についていけない。色んな選手に迷惑をかけると思うのですが、それでもどうにか試合に出ようという気持ちは強く持っています」
そう意気込むイシボウは特大の可能性を開花させ、自らをGKとして育ててくれたクラブに恩返しするつもりだ。
取材・文●森田将義
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