人気脳科学者・茂木健一郎氏が「睡眠の前後の意識の連続性について」と題した動画で、自我の連続とその脆さについて語った。動画の冒頭で茂木氏は「睡眠の前と後で同じ自分だというのは、我々の自己という概念において極めて重要なシミュレーション」と指摘し、そもそも眠る前と起きた後の“自分”が本当に同一なのかを私たちは認知的に推定しているに過ぎないと論じた。

茂木氏は「寝る前と起きた後の状況が似ている。例えば、似たような場所に寝ているとか、似たような服を着ているとか」と述べ、そうした環境や状況の継続性、自伝的記憶の連なりから私たちは無意識に“同じ自分”だと納得するのだという。しかし一方で「ウィリアム・ジェームズのいう意識の流れからすると、そこは断ち切れている」と、名著『意識の流れ』を引き合いに出しながら、眠っている間は意識がなく、自己感覚は途切れている可能性を示唆した。

さらに茂木氏は、「寝ている間は自分はいないんで、どれくらい寝ているかって本当は分からない」と語り、「起きた時に時計を見るのって不安」と、その間の時間経過を知覚できないことが私たちの根本的な不安につながるのではと推測。「睡眠の前後における意識の連続というのは、もともとはすごく不安なもの」と述べ、酩酊や麻酔、予期しない場所での目覚めにも、同様の“自己の揺らぎ”を感じることがあるとエピソードを交えて解説した。

「意識の、睡眠の前後の意識の連続性というのは、まさかそういうもので、これはね、その意識の性質について考える上で、極めて重要なヒントではないか」と語った茂木氏。動画は「意識の連続性の根底にはベース的な不安があり、そこに大きなヒントが隠されている」と指摘し、我々が当たり前だと思っている“自分”という存在そのものを改めて問い直す締めくくりとなった。

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