動画「仲間に対する愛を世界に広げる。」の中で脳科学者・茂木健一郎氏が、現代社会におけるコミュニティの意義と問題点について語った。茂木氏は「コミュニティって大事なもので、素晴らしいもので、人と人とが結びつくことによって居場所ができる」とその価値を認めつつ、「実はコミュニティって非常に大きな問題があって、他のコミュニティとの関係をどうするか」が今大きな課題だと指摘した。

学校や職場、家庭、サードプレイスなど様々な場所で形成されるコミュニティは、いずれにも意味があるものの、特に国単位となった時に「国同士、国の中でお互いに助け合って文化や伝統を育てていくのは素晴らしい」とした上で、その外側――つまり他国・他文化との向き合い方については注意が必要だという。「どこのコミュニティに立っても、同じ人間だよね」と茂木氏は言うが、国境や言語、民族などの違いから「つい相手が自分たちと全く違う人だと思いがち」とも危惧を示した。

そのうえで茂木氏は、社会心理学の有名な「ミニマルグループ実験」を紹介。カンディンスキー派とクレー派に分かれるほど些細な違いでも、「お互いに相手のグループを非難したり、対立したりし始める」現象が見られるとし、「国家という神聖視されがちな存在であっても、社会心理学的にはミニマルグループと変わらない可能性もある」と指摘した。「もともとそんなに変わらないのに、何かのきっかけで2つに分かれると対立が始まる」とし、分断のきっかけは思いのほか小さいことを強調した。

「問題なのは、他のコミュニティと向き合う時にどういう態度をとるか」と茂木氏は続け、その際は「メタ認知の考えを取り入れた方が、よりこのグローバルな社会において、自由な人間的な思考ができる」と訴えた。動画の締めくくりでは「今日はミニマルグループの話をさせていただきました」と総括し、コミュニティの壁を越えて他者と向き合うための視点として、相対化や一歩引いた視野の重要性を呼びかけた。

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