記事のポイントメットガラ2025では、新進ブラックデザイナーが存在感を示し、ファッションを通じたアイデンティティ表現が重視された。 ルイ・ヴィトンやトム・ブラウンなど大手メゾンに加え、セルジオ・ハドソンやグレース・ウェールズ・ボナーらが複数のセレブ衣装を担当した。初参加デザイナーが全体の20%を占め、単独コラボの事例も多く、多様な才能の登場が際立った。

ファッション最大の祭典で、独立系デザイナーはいかにラグジュアリーブランドと共に存在感を示したか

世界最大のラグジュアリーブランドにスポットライトが当たるのが恒例となっているメットガラ(Met Gala)だが、今年のテーマ「スーパーファイン:ブラックスタイルのテーラリング(Superfine: Tailoring Black Style)」では、セルジオ・ハドソン(Sergio Hudson)やグレース・ウェールズ・ボナー(Grace Wales Bonner)といった新進のブラックデザイナーにも注目が集まった。「今年のメットガラはこれまでと違う。単にスタイルを祝うだけでなく、アイデンティティ、歴史、声を称えている。ファッションが真実を語るとき、それは力を持つ。今回は、より意図を持ち、より敬意を払ってこの場に臨むことが求められている」。ヴァレンティーニ・メディア・グループ(Valentini Media Group)の創業者ジャラ・ヴァレンティーニ(Jhara Valentini)は、メールでそう述べている。Glossyは、ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)のような名門メゾンからビアンカ・ソーンダース(Bianca Saunders)といった新進気鋭の才能まで、ブランドやデザイナーごとにメットガラでの着用者数を分析した。その結果、ルイ・ヴィトンとトム・ブラウン(Thom Browne)がそれぞれ12人と最多のゲストにカスタムルックを提供していた。

もっとも着用数が多いのはルイ・ヴィトンとトム・ブラウン

ルイ・ヴィトンは2023年2月に音楽プロデューサーのファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)をクリエイティブディレクターに迎えており、ファッション業界では新顔ながら、メットガラのような文化的イベントでブランドを現代化しようとしている。ファレルは今年のメットガラで、A$APロッキー、コールマン・ドミンゴ、ルイス・ハミルトンとともに共同ホストを務めた。ちなみにルイ・ヴィトンは、2022年にも14ルックを披露した後、2023年と2024年はメットガラのカーペットから姿を消していたが、今年2025年に再び復活した格好だ。
トム・ブラウンはオーダースーツ製作からキャリアをスタートしており、今年のテーマと相性がよかったことから、多くのセレブに選ばれたようだ。彼は今回、ハミルトン(Hamilton)やウィキッド(Wicked)といった舞台作品で知られるブラックデザイナーのポール・タズウェル(Paul Tazewell)とタッグを組み、テーマの解釈に挑んだ。タズウェルは、俳優で歌手のジャネール・モネイ(Janelle Monae)のルックを手がけ、SNS上で話題に。ブロガーのプンキー(Punkee)が投稿したモネイの衣装動画は、記事執筆時点で580万回以上再生されている。ポップスターのチャペル・ローン(Chappell Roan)も、タズウェルにメットガラ初出演のルックを依頼。Instagramでは、この衣装がディスコ時代の華やかさと自由を称えるものだと説明している。

ブラックデザイナーたちの活躍

ブラックスポーツウェアデザイナーのセルジオ・ハドソンは、2年連続でメットガラの階段を飾ることとなった。今年はクィンタ・ブランソン(エミー賞受賞の俳優・コメディアン)、クララ・ウー・ツァイ(WNBAチーム「ニューヨーク・リバティ」のオーナー)、ジョンケル・ジョーンズ、ブリアナ・スチュワート、サブリナ・イオネスクら9人にカスタムルックを提供した。ロンドンを拠点とするグレース・ウェールズ・ボナーは、メットガラのホスト委員会メンバーを務め、自身の作品がメトロポリタン美術館の「ブラック・ダンディズム」展にも展示された。今年は自身初となるメットガラ参加で、ルイス・ハミルトン、タイラー・ミッチェル(Tyler Mitchell)、FKAツイッグス(FKA Twigs)、ジェフ・ゴールドブラム(Jeff Goldblum)の4人にルックを提供している。複数のセレブに衣装を提供するデザイナーが多い一方で、Glossy+リサーチによると、62人のデザイナーのうち26人は1人のセレブとだけコラボしていた。たとえば、アフリカ系アメリカ人デザイナーのトリシェジュ・ドゥミ(Torishéju Dumi)は、初登場ながらケンダル・ジェンナーのための衣装のみを制作した。
同様に、今年が2度目のメットガラ参加となった人気メンズウェアデザイナーのウィリー・チャバリア(Willy Chavarria)は、コロンビア人歌手マルーマ(Maluma)のためにカスタムのズートスーツをデザイン。自身のためのズートスーツも制作していた。
なお、今年メットガラに参加したデザイナーのうち、5分の1が初参加であった。Glossyの分析によると、参加デザイナーの20%が今回が初めてで、アデバヨ・オケ=ラワル(Adebayo Oke-Lawal)、ハニファ(Hanifa)、ビアンカ・ソーンダースなどが含まれる。以下は、今回の調査対象に含まれた2025年メットガラのデザイナーたちだ。
[原文:Research Briefing: Emerging designers dominate the 2025 Met Gala]Dania Gutierrez(翻訳・編集:戸田美子)