現在では閉鎖されている小笠原小のウェブサイト。確かに「クラブきっず」とレイアウトが似ている

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   東京都羽村市の小学校に勤める渡辺敏郎教諭(33)が、交通事故で死亡した子どもたちの生前の画像や、遺体の写真を無断で自身のウェブサイトに掲載していた問題で、思わぬところで波紋が広がっている。教諭が以前勤務していた、小笠原村の小学校だ。地元紙記者によると、「島はこの話題で持ちきり」だという。

   この問題のサイト「クラブきっず」の存在が「JNN報道特集」で報道されたのが2006年12月3日。翌4日には、写真を無断転載された遺族が侮辱容疑の告訴状を警視庁に提出した。渡辺教諭が勤務する羽村市の教育委員会は渡辺教諭の実名を明らかにしたほか、「痛切に責任を感じている」と陳謝した。

問題教師、良くカメラを持って歩いていた

   そんな中、都心からおよそ1,000キロ離れた小笠原村でも、この事件の余波が広がっている。この村の機能が集中している「父島」は、人口約2,000人。本土との交通手段は船しかなく、片道26時間半もかかる。独自の生態系を持つ自然に着目した観光業「エコツーリズム」でも知られている。

   12月5日、地元紙「小笠原新聞」が、渡辺教諭が村内の「小笠原小学校」に、06年3月まで6年間にわたって勤務していた、と報じた。同新聞は月刊で、発行部数は1,400〜1,500。ウェブサイトで、日々のニュースを月に10本強掲載している。

   この記事では、渡辺教諭が頻繁に写真を撮影して学級通信などに使っていたことや、「報道特集」での報道を受け、島内に瞬く間に情報が広がったことを紹介(父島でも、民放テレビは視聴可能)、島民のこんな声を掲載している。

「ダイビングや写真が好きで、良く海に遊びにいっていた。話し好きで皆に好かれていた」「良くカメラを持って歩いている姿を見たが話すと、いつも一方的に話し、変わった先生だなと思った。こんな教師が小笠原にいたなんて信じられない」
「事故現場の写真をHPでみせるなんて聖職者として許せない」

   同新聞の記者は、J-CASTニュースに対して、

「取材の段階では、若い人は、みんなこの話題を知っていました。島内では、この話題で持ちきりです」

   と話す。小笠原小の現在の児童数は125人で教職員数は11人。この規模の学校に、事件を起こした渡辺教諭が6年にもわたって在籍したことのショックは大きいようだ。

小笠原小のウェブサイトが閉鎖された理由

   報道を受け、小笠原小は12月4日に緊急に父母会を開き、金子和明校長が、事件で心配をかけていることについて陳謝。今後の対応について説明が行われた。

   金子校長はJ-CASTニュースの取材に対して

「事件で、子どもたちは、かなりショックを受けたように思います。父母会では、教員が子ども達の表情を良く見るようにしたり、話をよく聞くなど、子ども達のケアをしっかりやっていく、ということを説明しました」

   と話す。また、小笠原小のウェブサイトは、現在は閉鎖されているのだが、その経緯についてはこう明かす。

「実は、このホームページは、渡辺教諭が作ったものなんです。問題となったサイトとレイアウトが似ていて、印象が悪いので、報道が出る直前(12月2日)に閉鎖しました。また、ホームページにはメールアドレスを公開してあるので、メールが殺到してパンクしてしまうのではないか、というのも閉鎖の理由です」

   実はこのウェブサイト、学校への届出書類がPDFでダウンロードできるようになっていたり、英語版も設けられているなど、かなり手が込んでいる。金子校長は、ウェブサイトの今後については、こう語る。

「全面的に改訂します。元々のサイトがこれだけの量なので、出来たところから、少しずつ更新していくしかないです」