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ハイブリッドのGTS マニュアルのT

小改良で992.2型へ更新された、最新ポルシェ911。最大の話題は、カレラGTSがハイブリッドになったことだろう。また、マニュアル限定のカレラTも設定された。

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カレラGTSのエンジンは、484psと57.9kg-mを発揮する、新開発の3.6L水平対向6気筒ターボ。電圧400Vの電動システムが実装され、駆動用モーターがスターターを兼ねる。


ポルシェ911 カレラGTS T-ハイブリッド(992.2型/英国仕様)

8速デュアルクラッチAT(PDK)内に駆動用モーターが実装され、56psと15.3kg-mを加勢。結果として、MTは選択できない。システム総合では、最高出力541psと最大トルク62.1kg-mが主張される。最高速度は312km/h、0-100km/h加速は3.0秒だ。

ターボチャージャー内にも、ブースト上昇を高速化し維持するための、電気モーターが内蔵される。駆動用バッテリーはボンネット側に載り、容量は1.9kWh。このシステムを、ポルシェはT-ハイブリッドと呼ぶ。

カレラGTSでは、後輪操舵システムが標準。オプションで、ボディロールを制御するポルシェ・ダイナミックシャシー・コントロール(PDCC)も装備可能。後輪駆動と四輪駆動が用意され、ボディスタイルはクーペかカブリオレ、タルガから選択できる。

車重は、後輪駆動のカレラGTSで1595kg。無償オプションのリアシートを選択しなくても、タルガ4 GTSは1745kgに達する。

それ以外のカレラ、カレラT、カレラSには、ツインターボの3.0Lユニットが載る。カレラでは改良を受け、最高出力は9ps上昇し、ブレーキは前が6ポッドキャリパーへ置換。ディスクの直径も前後で20mm大きくなった。アダプティブダンパーが標準だ。

ドライバーズカーとしての位置付けが強化されたのが、カレラT。防音材が削られ、後輪操舵システムやトルクベクタリング・リアデフが標準で組まれる。MTは最上段のギアが省かれ、7速から6速へ変更された。

消えたアナログのタコメーター 雰囲気はそのまま

992.1と992.2を見分けるポイントは、フロントマスク。デイライトとウインカーが、ヘッドライトと一体になっている。その結果、大きなエアインテークを獲得。そこへ与えれられるフィンは、カレラGTSでは垂直で、それ以外は水平方向に伸びる。

一文字のテールライトも、僅かに太くなった。違いは小さいが。


ポルシェ911 カレラGTS T-ハイブリッド(992.2型/英国仕様)

インテリアでは、アナログのタコメーターが消えた。スタートボタンを押すと、従来はその針が動いたのだが、全面モニター式のメーターパネルが点灯するだけ。グロスブラックの樹脂も多く、特別感は薄れたといえる。

しかし、雰囲気は従来どおり911。運転姿勢は適正で、内装の設えも素晴らしい。タッチモニターの下には、ローレット加工された金属製スイッチが並ぶ。エアコンの操作スイッチもシフトセレクターも、触れるだけでうれしくなる。

メーターのグラフィックは、クラシカルなものからモダンなものまで、複数から選べる。表示できる情報の選択肢も幅広い。

タッチモニターの表示は鮮明で、反応は高速。システムメニューは理解しやすく、走行中でも操作は難しくない。スマートフォンとの連携は、無線で対応。ネイティブ・システムとの協調性も良い。

カレラTでは、MTのシフトノブがオープンポア仕上げのウォルナット。カレラGTなどへのオマージュといえ、握り心地が新鮮だ。タータン柄クロスが用いられた、ハーフレザー・シートも組まれる。

充分に気持ちいい素のカレラ 瞬間的に加速するGTS

それでは、通常のカレラで公道へ出てみよう。小改良で9ps増強されたが、直接992.1と乗り比べない限り実感はしにくい。とはいえ充分に速く、低域からたくましく、聴き応えのあるサウンドを響かせる。

これ以上911へ必要なモノがあるのか、疑問が湧いてくる。乗り心地はやや硬めで、ロードノイズは小さくないものの、高速域でも至って安定。サスペンションをソフトにすると、路面へ優しく追従しつつ、加減速でフロントノーズが僅かに上下動する。


ポルシェ911 カレラGTS T-ハイブリッド(992.2型/英国仕様)

ボディは小柄とは呼べないが、広くない道でも充分に扱いやすい範囲。正確な操舵感と高いグリップ力で、不安なく導ける。ブレーキも強力で調整しやすい。素晴らしいエンジンを堪能しながら、滑らかに駆けていくのが気持ちイイ。

8速PDKは、2速で引っ張ると100km/h。個体差かもしれないが、マニュアル・モード時に変速が若干遅れる印象があった。

他方、カレラGTSは541psあるから、追い越し加速は瞬間。992.1の911 ターボと、ほぼ同等のパワーが繰り出される。電気モーターの存在感は薄いが、現実世界で引き出せるギリギリの速さだ。992.2 ターボのベースになる可能性はある。

唸るほど、グレートブリテン島の傷んだ路面へ対応していた。カレラより乗り心地は硬いものの、減衰特性が優れるのか、不快な振動はない。ステアリングホイールには一層の手応えが伴い、より深い一体感を享受できる。

賑やかでも小さくない興奮を味わえるT

MTで911を嗜みたいなら、選べる内にカレラTを入手したい。シフトレバーを自ら傾け、ヒール&トウでのコーナリングは、運転の充足感を間違いなく引き上げてくれる。公道では高すぎる限界領域へ迫れなくても、小さくない興奮を味わえるはず。

シフトフィールはダイレクトかつ正確で、案の定素晴らしい。クラッチペダルは重めながら、ミートポイントを掴みやすい。


ポルシェ911 カレラGTS T-ハイブリッド(992.2型/英国仕様)

乗り心地は、こちらもカレラより硬め。軽量化の結果は感じにくく、車内はやや賑やか。後輪操舵システムは、目立たず回頭性を助けてくれる。

サーキットでは、1520kgの素のカレラが表現力豊かで好ましい。カレラGTSには速さで及ばなくても、全開で走るのが面白い。ペダルの加減で、オーバーステアからアンダーステアまで自在。ステアリングホイールへ伝わる感触も不満ない。

カレラ4 GTSは、数段速いことへ舌を巻く。カレラの全力など、余裕で引き離せるだろう。3.6Lエンジンは音量が大きく、レスポンスは極めて鋭敏。2基の電気モーターが加勢し、ややドラマチックさは薄いものの、ターボラグのようなものはまったくない。

コーナーではカレラ以上の重さを感じるが、安定性も秀抜。アナログ感が薄いかわりに、より大胆に操れる。

後輪駆動のカレラGTSは、コーナ出口での敏捷性が僅かに高まる。ライン調整もしやすく、四輪駆動より一層好印象。1595kgと重すぎず、親しみやすく、ステアリングホイールの感触も更に濃くなる。

秀抜な普段使いとの親和性 それぞれの強み

992.2型911の英国価格は、素のカレラで辛うじて10万ポンド(約1950万円)を切る。しかし、現実的にその仕様を選ぶ人はいないはず。試乗車はシートやホイール、ステレオなどがアップグレードされ、12万4058ポンド(約2419万円)になっていた。

6速MTが組まれるカレラTは、11万1300ポンド(約2170万円)から。カブリオレは、1万ポンド(約195万円)の上乗せになる。


ポルシェ911 カレラGTS T-ハイブリッド(992.2型/英国仕様)

911が、それ以外の高性能スポーツと一線を画すポイントが、普段使いとの親和性。高いリセールバリューと信頼性も、強みといえる。加えて、8速PDKでの燃費は10.6km/Lと、ランニングコストも抑えられる。

素のカレラからカレラGTSまで試乗させていただいたが、筆者が最も気に入った992.2はカレラT。ドライバーズカーは、やっぱりMTで楽しみたい。

それでも、いずれも出色の仕上がりにあることは事実。俯瞰すると、シンプルなメカニズムに8速PDKを組んだ通常のカレラが、毎日乗りやすいスポーツカーとして素晴らしい選択肢になるだろう。カレラGTSは、息を呑むような高性能ポルシェだ。

それぞれに、それぞれの強みがある。オプションだけでなく、マイベストな911を選ぶのも、また楽しい。

◯:カレラGTSのレスポンスと加速力 シンプルで機能的な車内空間 調和の取れた操縦性 普段使いしやすい素晴らしいロードカー
△:カレラGTSは、サーキットで重さを感じる 大きめのロードノイズ やや特別感の薄れた内装

ポルシェ911 カレラGTS T-ハイブリッド(992.2型/英国仕様)のスペック

英国価格:13万5834ポンド(約2649万円)
全長:4553mm
全幅:1852mm
全高:1296mm
最高速度:312km/h
0-100km/h加速:3.0秒
燃費:9.3km/L
CO2排出量:244g/km
車両重量:1595kg
パワートレイン:水平対向6気筒3591cc ターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:541ps/6500rpm
最大トルク:62.1kg-m/1900-6000rpm
ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック(後輪駆動)