電力価格高騰で撤退、多くの地方自治体と訴訟トラブルに

 (株)ウエスト電力(TDB企業コード:561013411、資本金5000万円、東京都千代田区丸の内1-6-5、代表清算人荒木健二氏)は、5月12日に東京地裁へ特別清算を申請していたことが判明した。

 当社は、2014年(平成26年)9月に設立された新電力会社。(株)ウエストホールディングス (東証スタンダード)の連結子会社であり、既存電力会社と送電網の接続供給契約を締結して、一般企業や40を超える地方自治体などの需要家に電力を供給。2019年8月期には年売上高約340億3700万円を計上していた。

 しかし、電力価格高騰によって市場での調達価格と需要家への販売価格が逆ザヤとなるなど収益を圧迫。これを理由に2022年3月に電力小売り事業を廃止することを決議していた。接続供給契約を突如打ち切ったため、複数の地方自治体から損害賠償請求訴訟を提起される事態となっていた。2022年8月期の年売上高は約248億3700万円に減少、大幅な赤字を計上し債務超過に転落していた。

 その後も業況改善の見込みが立たず、昨年6月に営業活動を停止、2023年4月28日開催の臨時株主総会で解散を決議し、今回の措置となった。

 負債は2022年8月期末時点で約25億8700万円だが、変動する可能性がある。

 なお、新電力会社の倒産は今年5社目、2016年の電力自由化以降で累計32社に達している。