「ハイブリッド車で得する」は“令和のおとぎ話”? トヨタ「ノアヴォク/RAV4」ガソリン仕様と比べてわかった真実とは
「新車価格」「ガソリン代」「売却時の価格」で比較
同じモデルに「ガソリン車」と「ハイブリッド車」が用意されているクルマがあります。2つのパワートレインには価格差もありますが、一体「どちらが買い」なのでしょうか。
人気の高いトヨタのミニバン「ノア/ヴォクシー」とSUV「RAV4」で、それぞれ比較してみます。

1997年、世界初の量産ハイブリッドカーとなるトヨタ「プリウス」の初代モデルが登場してから、早くも25年が経過しました。
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いま日本でハイブリッド車はごく当たり前の存在となり、プリウスを筆頭にトヨタ「アクア」や日産「ノート」、新型「エクストレイル」といった「ハイブリッド専用車」も珍しくないほどです。
それだけに、いまクルマを買う際に悩むのが「ハイブリッド車」か「それ以外か」を選ぶ基準です。
ハイブリッド専用車ならまだしも、現在販売される多くのクルマには、エンジン車とハイブリッド車の設定があります。
この場合、どちらを選ぶべきかは悩ましいところです。
例えば「この先はエンジン車に乗れなくなりそうだから今のうちに乗っておきたい」といったことや「次は絶対にハイブリッドカーに乗りたい」といった「明確な意思」があれば悩むこともないと思いますが、迷っている場合はどのように選べばいいのでしょうか。
その答えは意外に簡単なことでした。
エンジン車とハイブリッド車の「新車価格の違い」「ガソリン代」「売却時の価格」を比較すれば良いのです。
具体的には、税優遇まで含めた購入時の差額と、ハイブリッドにすることで節約できるガソリン代、そしてクルマを処分する際のリセールバリューでペイできるかどうか、ということになります。
ここに、好みをはじめとした「フィーリング」も考慮し、総合的に判断すれば良いのです。
エンジン車とハイブリッド車が設定される人気車について、5年・5万km走行という長期的な出費を中心にどちらを買うべきかを考えていきたいと思います。
計算方法や比較の基準は、次の通りとします。
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1.新車価格の違い
価格は消費税込み。グレードは両車極力同等とし、装備に違いがある場合はそれも加味。
なおハイブリッドカーは「重量税」や「環境性能割」の優遇がある場合が多いことから、購入時の実質的な価格も考慮する。
2.ガソリン代(5年・走行5万km時に必要な燃料代)
燃費はエンジン車、ハイブリッドカーともにカタログ燃費(WLTCモード燃費)の80%とし、ガソリンの単価はレギュラー169円、ハイオク179円で計算する。
3.売却時の価格(5年・走行5万km時のリセールバリュー)
各メーカーが公式Webサイト上で公表している「残価設定ローン」(5年プラン)の最終回支払額を参照する。
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今回はミドルクラスミニバンのトヨタ「ノア/ヴォクシー」と、ミドルクラスSUVのトヨタ「RAV4」について、それぞれのガソリン車とハイブリッド車のどちらを買うべきか、比較検討してみましょう。
ノア/ヴォクシーは「ハイブリッド車が買い」だ
今年2022年1月のフルモデルチェンジ以来、長期の納車待ちをともなうほどの大人気となっている、ミドルミニバンのトヨタ「ノア/ヴォクシー」には、2リッターガソリン車と、1.8リッターハイブリッド車が設定されます。
人気ミニバンのガソリン車とハイブリッド車のどちらを買うべきか、比較検討してみましょう。

1.新車価格の違い:ハイブリッド車が約35万円(実質約18万円)高い
・「ノア S-Z」ガソリン車(2WD):332万円
・「ノア S-Z」ハイブリッド車(2WD):367万円
価格差は約35万円ですが、ハイブリッドS-Zには4万円相当の100V1500Wのコンセントが標準装備され、税優遇も約13万円あるので、購入時の実質的な価格差は「約18万円」に縮まります。
2.ガソリン代(5年・走行5万km時に必要な燃料代):ハイブリッド車が24万5000円安い
・「S-Z」ガソリン車(2WD):カタログ燃費 15.0km/L(WLTCモード燃費)→実用燃費 12.0km/L
・「S-Z」ハイブリッド車(2WD):カタログ燃費23.0km/L(WLTCモード燃費)→実用燃費 18.4km/L
5年・5万km走行に必要なガソリン代は、ガソリン車70万4000円、ハイブリッド45万9000円。
ハイブリッドのガソリン代は24万5000円安く済みます。
3.売却時の価格(5年・走行5万km時のリセールバリュー):ハイブリッド車が14万7000円高く売れる
・ガソリン車:139万4000円
・ハイブリッド車:154万1000円
ハイブリッド車は14万7000円高く処分できます。
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収支決算すると、ノア/ヴォクシーは購入時の実質的な価格差が小さいこともあり、走行距離が少なくても購入時の価格差はペイできそうです。
どうしてもハイブリッドが嫌いといった事情でもない限り、ノア/ヴォクシーはハイブリッドを選ぶべきというのが結論です。
RAV4は「ハイブリッド車が割高」だった
2022年10月4日にマイナーチェンジされたばかりのトヨタのミディアムクラスSUV「RAV4」には、登場時から2リッターガソリン車と、2.5リッターハイブリッド車が設定されています。
また2020年からは、2.5リッターハイブリッド車の駆動用バッテリーを約10倍に増量し、充電環境があれば電気自動車としても使えるプラグインハイブリッドが、フラッグシップモデルとして設定されています。

1.新車価格の違い:ハイブリッド車が61万9000円(実質49万2000円)高い
・「RAV4 アドベンチャー」ガソリン車:368万4000円
・「RAV4 アドベンチャー」ハイブリッド車:430万3000円
価格差は61万9000円ですが、ハイブリッドには12万7000円の税優遇があり、購入時の価格差は実質49万2000円に縮まります。
2.ガソリン代(5年・走行5万km時に必要な燃料代):ハイブリッド車が17万1000円安い
・「RAV4 アドベンチャー」ガソリン車:WLTCモード燃費 15.2km/L→実用燃費 12.2km/L
・「RAV4 アドベンチャー」ハイブリッド車:WLTCモード燃費 20.3km/L→実用燃費 16.2km/L
5年5万km走行に必要なガソリン代は、ガソリン車69万3000円、ハイブリッド52万2000円と、ハイブリッドのガソリン代は17万1000円安く済みます。
3.売却時の価格(5年・走行5万km時のリセールバリュー):ハイブリッド車が22万9000円高く売れる
・ガソリン車:136万3000円
・ハイブリッド車:159万2000円
ハイブリッド車は22万9000円高く処分できます。
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それではRAV4の収支決算をしてみましょう。
RAV4はハイブリッド車の方が9万2000円高く付くことになり、RAV4の場合は、ガソリン車とハイブリッドとの差額をペイすることはできません。
しかし、RAV4のハイブリッド車はエンジンが2.5リッターということもあり、2リッターガソリン車に対し動力性能が格段に高いことを考えると「動力性能差を考えれば、収支決算した差額9万2000円は安い」と考えることも出来ます。
また、オフロードコースのような悪路を走ることがあるのであれば、RAV4 ガソリン車の4WDには急な下り坂で人が歩くようなゆっくりとした一定速を保ってくれる「ダウンヒルアシストコントロール」が付くという強みもあります。
そのためRAV4の場合は、ハイブリッドを基本に、使い方に応じてガソリン車も考えるというのがいいでしょう。
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ここまでの試算を考えると、同じクルマでエンジン車とハイブリッド車で迷った際には、長い目で見れば元が取れることが多いです。
これに加え、昨今はガソリン価格が高値安定となっています。
クルマを実用的に使うのであれば、基本はハイブリッド車で……というのが結論です。
同時に長いスパンであれば差額の元を取れるほど、ハイブリッド車の低価格化を進めた自動車メーカーの努力にも拍手を送りたいところです。
ただしクルマに趣味性を求める人であれば、エンジン車も魅力的です。この点も念頭には置くべきでしょう。
実際SNSなどの声を総合すると「出費としてはハイブリッドもペイするけど、エンジン車の方がフィーリングが良い」という声も根強いものがあります。
いっぽうで「ハイブリッドのほうがスムーズで静か」という声もみられます。
クルマを選ぶ際には、そういった総合的な点を踏まえ検討する必要があるでしょう。
