今季ブレークしたロッテ安田。小学6年生で身長178センチの規格外ボディーだった【写真:宮内宏哉】

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今季ブレークの21歳が語る少年時代の“ノルマ”とは…

 プロ野球・ロッテの安田尚憲内野手が「THE ANSWER」のインタビューに応じた。今季は87試合で4番に座るなど1軍に定着した21歳は、小学6年生の時すでに身長178センチの規格外ボディーだった。朝から白米2合を食べていたという自身の経験も踏まえ、野球選手を目指す少年・少女へ“食トレ”の大切さを説くとともに、コロナ禍で感じてほしい周囲への感謝などについても語った。

「電車とかは、子ども料金の切符でよく(駅員に)止められましたね。バイキングなんかに行っても、子ども料金の証明というか、親は必ず保険証とかを持って行ってました」

 少年時代について懐かしそうに語ってくれた安田は、小学6年生の時に身長178センチ、靴のサイズは28.5センチという規格外の体を誇っていた。入学前からビッグだったが、特に4年生の頃からは年間10センチ程伸び続ける急成長。この頃すでに家族の中では1番背が高くなっていたという。

 現在の身長は188センチ、体重95キロ。野球を始めてから大きな怪我とは無縁だ。強く逞しい体は、どのようにしてできたのだろうか。秘密は食事と睡眠にあるようだ。

 両親ともに陸上で活躍した元アスリート。スポーツ一家の食卓では、安田が小学5年生の頃から白米2合が毎食の“ノルマ”になっていた。飲み物もお茶ではなく、基本は牛乳。早い時には午後9時に就寝していたという。

「たくさん食べていた、というよりたくさん食べさせられていたに近いですけど(笑)。夜も(両親から)『早くベッドに行きなさい』と。子どもの頃は『なんでこんなのしてるんやろ』という風に思っていましたけど、今となっては感謝ですね」

 大きな体だったとはいえ、小学生の頃は朝から白米2合を食べるのはさすがに大変だった。ただ、この“食トレ”の大切さが今となっては分かる。自宅通いだった大阪・履正社高に進学した頃には食べる体力がしっかりとつき、夏場のキツい時期にも食事が喉を通らないということはなかった。

間食を活かす食トレがお勧め「ちょっとずつ増やせば…」

「子どもの頃からの習慣が力になったと思います。体力をつけるなら、ご飯を食べられなくなると体重も落ちますし、筋力も落ちてしまうので、食べる体力は大事だと思いますね」

 今季は開幕から終了まで、初めて1軍を完走した。新型コロナウイルスの影響により、6月から開幕したシーズンは変則日程。同一カード6連戦も頻繁にあるなどタフな1年だった。怪我なく乗り切れたのは、食事面で問題がなかったことも大いに関係していると感じている。

 安田ですらそうだったように、子どもが急に大量の食事をこなすのは難しい。お勧めは間食などを使い、徐々に食事量を増やすことだ。

「例えば朝2合が無理なら1合、間食で1合、とか。ちょっとずつ増やしていけば絶対食べられるようになると思います。選手としては体が一番の資本。怪我してしまうとどうしようもないので、基礎の部分は大事かなと思います」

 良く食べ、良く運動し、良く寝る。健やかにすくすくと育った学生時代だが、当然学業もおろそかには出来なかった。

 履正社高は文武両道で有名。強豪の野球部も例外ではない。テストの点が悪ければ、練習をさせてもらえないこともあるという。とはいえ、ハードな練習から帰宅し、なかなか机に向かう気力がない時もある。だからこそ、日々の授業を大切にしてほしいと願う。

「勉強嫌いな子も沢山いると思いますが、これからの野球人生で嫌なことも絶対にある。そういったことから逃げ続けていると自分に返って来るかなと思いますし、最低限の知識は必要だと思います。

 もちろん家に帰って勉強できるならした方がいいと思いますけど、僕の場合は授業を集中して聞いて、テスト前に振り返って頑張るということを大切にしていました」

コロナ禍を過ごした子どもたちへ「感謝の気持ちを忘れないで」

 今季は87試合で4番を務めるなど、113試合に出場。規定打席に到達し、クライマックスシリーズ(CS)のソフトバンク戦では千賀滉大から本塁打を放つなど、2戦で9打数4安打4打点と活躍した。ただ、打率.221、6本塁打、54打点というシーズンの成績には納得いっていない。特に終盤は4番を外れるなど悔しい時期も過ごした。

「必ず来季につなげられるように過ごしていきたいです。プロは良い時も悪い時も、次の日は試合がある。ダメな時が続くと、気持ちの整理のつけ方の難しさ、弱気になってしまうこともありました。精神的にタフにならないといけないと感じています」

 今年は開幕すら危ぶまれた時期もあった。緊急事態宣言の期間中は、寮にこもってできることをやるしかないシチュエーションも経験した。コロナ禍を通じ、再認識したのは目標を見失わないこと、周囲への感謝の重要性だ。

「僕で言えば開幕1軍に入るというのがその時の目標。いつ開幕するかわからない状況でしたけど、頭の中では忘れないよう過ごしていました。今年はないんじゃないかと思うこともありましたし、シーズンが無事に終わったということはたくさんの方のご尽力、サポートのおかげだと思います」

 高校野球では春夏の甲子園大会が中止になるなど、学生スポーツも例年とは異なる1年を強いられた。「いろんな方がサポートしてできることもある。野球もそのうちの一つ。感謝の気持ちを忘れずにやってもらいたいです」。日常が戻った時には、子ども達にも周囲に対する感謝を感じてほしいと願う。

 このオフはパ・リーグの投手に共通している速く、強い直球を打ち返せるよう打力を磨いている。野球少年・少女にも目標にしてもらえる選手となれるよう、来季はさらに逞しい姿を見せるつもりだ。

「今年は右も左もわからない状況での1軍のスタート。来年は今年の悔しいシーズンを見返せる、もっと飛躍できるシーズンにしたいです。千葉ロッテマリーンズで戦っている姿を見て、野球少年たちがもっと野球を好きになるようなプレーが出来たらと思います」

■安田尚憲(やすだ・ひさのり)

 1999年4月15日、大阪府出身。履正社高で16年夏、17年春に甲子園に出場。高校通算65本塁打。17年ドラフト1位でロッテに入団。18年10月には球団の高卒新人としては28年ぶり3人目の本塁打を放った。今季はプロ入り後初めて1軍を完走。87試合で4番に座り、打率.221、6本塁打、54打点。CSではソフトバンク千賀から本塁打。21歳6か月での一発は、パ・リーグの打者ではCS史上最年少だった。188センチ、95キロ。右投左打。(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)