化粧品・日用品「メード・イン・ジャパン」で進む国内生産回帰
資生堂は供給確保に向け、2018―20年度の3カ年累計で1300億円を投資する。19年度に栃木・那須工場、20年度には大阪新工場が稼働予定だ。現在、既存の国内3工場(静岡・大阪・埼玉)では週末もフル稼働だが、それでも追い付かないほどの需要がある。
中国をはじめとするアジアではジャパン・クオリティーへのこだわりが強い。「日本のモノづくりへのこだわりや品質の高さに目覚め、価値を見いだすようになった」(保坂執行役員)と分析する。
新工場稼働までの1―2年は、多品種を生産するラインを売れ筋商品のラインに切り替えるなど、対策を講じて、しのいでいく。原材料の調達については、サプライヤーとの契約更新を進め、「今年後半から今まで以上に調達を拡大する」(直川紀夫執行役員常務)と見通す。売り上げが好調な商品に軸足を置き、バランスを取りながら生産する。
コーセーは17年3月、群馬工場に60億円を投資し、新生産棟を稼働した。稼働から1年でフル生産の状態だ。新本浩一執行役員(コーセーインダストリーズ社長)は「このまま順調に伸びていけば、床面積は足りなくなるだろう。今後3年は持つだろうかという感じ」と話す。
今後の工場新設は、メード・イン・ジャパンのこだわりや品質管理の点から、国内で投資を続ける方針だ。化粧品製造の工程の中でも化粧品の中身製造への投資を図る。一方、人手が必要となる、瓶詰めや箱入れなどパッケージ工程については、外部委託を広げるなどメリハリを付けて対応する。
20年に売り上げ3000億円以上、営業利益率10%を目指し、化粧品事業をテコ入れすると新方針を発表した花王。村上由泰執行役員(カネボウ化粧品社長)は「タイトな供給体制は他社と同じ。増産に向けラインを増強している」と話す。
越境ECと相乗
メード・イン・ジャパン需要は、アジアを中心に根強い人気を誇る。ここ最近は化粧品にとどまらず、紙おむつやハブラシを中心とする口腔(こうくう)ケア用品、医薬品、ヘルスケア商品などにも広がる。
ライオンは洗口液を中心に国内需要が高まり、ハブラシや洗口液の増産に約30億円を投資。子会社のライオンケミカルはオレオケミカル事業所(香川県坂出市)にハブラシの新生産棟を建設中で2019年に稼働予定。オレオケミカル事業所で、ハブラシの生産能力を3倍に増やす。国内全体で約1割の増産となる。
明石工場では洗口液を生産する新生産棟が19年春に稼働予定で、国内生産能力を2倍にする。アジアで洗口液は普及していないが、国内では、口腔ケア意識の高まりからオーラルケアブランド「ノニオ」を中心に右肩上がりで成長を続ける。
27年ぶりに、栃木県栃木市に工場を新設するのはエステー。約31億円を投資し、カイロや温熱製品を製造販売するマイコール(栃木県栃木市)のカイロ事業を買収して引き継ぐ。
エステーにはなかった温熱技術を取り込むことによって、吉澤浩一取締役執行役は「新しいヘルスケア分野の商品も展開していきたい」と話す。まずは新技術の継承と安定供給を進め、将来的に国内工場のバランスを図り国内生産の再編も検討する。
