USEN大株主に躍り出た村上ファンドの村上代表(資料写真:常井健一)

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村上世彰氏率いる投資ファンド(村上ファンド)が12日時点で、有線放送最大手USEN<4842>の発行済み株式総数の5.21%を保有する大株主となったことが19日、関東財務局に提出した大量保有報告書で明らかになった。村上ファンドの保有株数は391万株で、取得資金は総額77億円。保有目的は「純投資」としている。

 USENは無料インターネット放送「GyaO(ギャオ)」の先行投資がかさみ、4月21日発表の2006年2月中間決算で、経常赤字に転落した。4月下旬以降は株価も下落し、上場来最安値近辺での低迷が続いていた。

 村上ファンドは、4月29日から5月12日までに4度にわたって段階的にUSEN株を大量取得。1760円の底値をつけた5月12日には20万株を取得している。同時期にはコンビニ大手のサークルKサンクス株<3337>5.07%を大量取得し、阪神電気鉄道<9043>やTBS(東京放送)<9401>などの保有銘柄も買い増した。

 USENの宇野康秀社長と村上氏は、ともに大阪・道頓堀生まれで、旧知の間柄。「GyaO」が本放送を開始した05年4月には、オリジナルのビジネストーク番組の第1回ゲストとして村上氏を迎え、宇野氏との対談が収録、同社のサイト上で配信された。

 同番組で、村上氏は「ギャガ<4280>、エイベックス<7860>、KLabなど、これだけいい会社をいっぱい集められていて、ずっと付き合いながら、互いの文化の融合をやっておられている」と宇野氏のM&A手法を評価。「GyaO」については「見る側にとっては、どこまでいいコンテンツが見られるかが大事だ。本当に面白いもの、見たい人がいっぱい見られるようなものを提供してもらいたい」と期待を寄せている。

 また、村上氏は「もしこの国がルールを無視して、私をイジメに来たときには『さよなら』するのも一案。海外に出て、この国を変える。この国のルールが適用されない中で、この国を本来の真っ当な国にする」とも言及。収録からちょうど1年後の今春、村上ファンドは、拠点をシンガポールに移した。

 週明け22日の株式市場で、村上ファンドの大量保有報道を受けたUSENの株価は大幅に上昇し、前週末比220円(11.28%)高の2170円で取引を終えた。売買が成立した株数を示す出来高は前週末の6倍以上の24万株と大商いだった。

 6月に行われるライブドアの臨時株主総会では、第2位株主の宇野氏とUSEN常務の佐藤英志氏を社外取締役として選任する予定。刑罰が確定した法人は5年間、証券会社の親会社になれないことから、ライブドア証券など金融部門の処遇が今後の焦点になることもあり、村上氏の動きが様々な憶測を呼びそうだ。【了】

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