アサツーディ・ケイ(ADK)が、長年本社をかまえてきた中央区築地1丁目の『ADK松竹スクエア』から'14年夏頃をメドに移転する。
 移転先は港区虎ノ門1丁目(環状二号線III街区プロジェクト)で地上52階の高層ビル。

 同社は'99年に旭通信社と第一企画が合併して発足した。'02年に銀座周辺に分散する子会社を集約する形でADK松竹スクエアに本社を置いた。だが、わずか10年あまりでの引越となる。
 なぜか、との声が上がっているのも否定できない。マスコミ関係会社、それも大手が引越となるとかなりの資金が必要だからだ。

 たとえばテレビ東京。'15年秋に港区虎ノ門から六本木3丁目へ移転するが、これは放送機器や子会社が増えて手狭になったためという純然たる理由がある。
 だが、広告代理店は人間が財産であり、設備投資はそれほど不要。移転する理由が見えないのだ。
 「ADKは『業務効率向上をはかるもの』としているが、実際、移転など経営指針がらみの指示を出しているのは、'98年に資本提携しADKの株を24%握る英国の大手広告代理店WPPグループ。ハゲタカファンドとしての顔も持ち、一部には、ADKが保有する不動産や資産を売却させようとしているとか。また、国内での不動産売買にも意欲的。WPPはADK松竹スクエアを、長年本社をかまえているという有利な条件から、廉価で購入し、売ろうと考えていた。だが、値段が折り合わず、ADK側が最終的にはあきらめたといわれています」(不動産関係者)

 ADKの'12年12月期決算予想は悪くはない。売り上げ3510億円、純利益で30億円を見込んでいる。ただ、以前のように固定したクライアントがいないのが弱み。かつてのような三菱自動車に対する“強さ”をみせるなどの面が最近はみられない。
 今後は噂になっている子会社売却などに走る?