試合 :リーガ 第17節
開催日:2012年1月8日
結果 :引き分け
スコア:「1−1」
得点者:セスク アルバロ・バスケス

FW:ティエリ ヴァイス
MF:セルヒオ・ガルシア
MF:ロマリッチ フォルリン ベルドゥ
DF:ディダク モレーノ アマト ラウル・ロドリゲス
GK:アルバレス

エスパニョールは、基本の形は「4−3−1−2」でした。しかし、それぞれの選手がガッチリとしたポジション固定ではなく、流動性を持ちながら「4−3−1−2」という形を保つ、そういう戦い方をしていました。それはどういう事かと言うと、特に注目すべきポイントは、とにかく3ボランチを保つ、中盤の底の位置に3枚を保つ、という事ですね。

セルヒオ・ガルシアがトップ下にいれば、ベルドゥは右のボランチ。ベルドゥがトップ下にいれば、セルヒオ・ガルシアは右のボランチ。また、セルヒオ・ガルシアもベルドゥも前に上がって、その2人がボランチの位置に戻れないようであれば、ヴァイスもしくはティエリがボランチの位置を埋めている事もある。更には、フォルリンが右へ出たり、ベルドゥが左へ行っている場合は、ロマリッチが3ボランチの中央に移動する。

つまりは、やはりバルサの攻撃の威力を落とさせるためには、バイタルエリアのところで起点を作らせないようにする事が最善、という事で、できるだけそのゾーンの枚数が3枚を保っているようにする事。最低でも2枚は保っているようにする事。それをやっていたという事ですね。そして、1枚になってしまった場合にはどうしていたのかと言うと、その場合には、CBの1枚がボランチの位置まで上がって対応する、という事をやっていました。

そして、バルサ対策として、バイタルエリアで起点を作らせない、という事と同時に重要なのは、ハイプレスをする、という事ですね。前の3枚が、バルサの3バックとアンカーの選手にハイプレスを掛け、それに連動して後ろの「4−3」の選手もハイプレスをする。バルサの攻撃になった時に、とにかく急いで守備ブロックを作ろう、と下がってしまうのではなく、まずはハイプレスでバルサの攻撃を遅らせてから、それから下がって守備の陣形を整えるという事、それが重要ですね。

もちろん、そのハイプレスでボールを奪えてしまえばショートカウンターもできますし、実際、この試合のエスパニョールは、ハイプレスでボールを奪ってからのショートカウンターという形を何回も見せていましたし、また、ハイプレスでバルサを押し込めている事もありました。つまり、この試合のエスパニョールが、なぜバルサ相手に善戦できたのかと言えば、バイタルエリアで起点を作らせない、バルサに良い形でビルドアップさせない、この2つの事ができていたからだと思っています。

更に3つ目には、個々の選手が1対1で負けていなかった事で、右SBのラウル・ロドリゲスはサンチェスをほぼ完全に封じていましたし、セルヒオ・ガルシアとベルドゥは個の力でバルサの守備陣をかわす事ができていました。その他の選手に関しても、バルサの選手に1対1のところで完全にやられていた、という選手はいませんでした。やはり、バルサ対策とは言っても、個々の選手が個の競り合いのところで負け続けていたら、そのバルサ対策は実現できない、という事ですよね。

そして、失点シーンに関しては、枚数的には足りていたのですが、ロマリッチがセスクを見る事ができず、フリーにしてしまいました。ボールウォッチャーになってしまったのか、メッシの動きに釣られてしまったのか、どちらにしても、バイタルエリア、背後にいたセスクに気が付く事ができず、アウベスからのクロスをセスクにヘディングで決められてしまいました。