日本や韓国では、女性の労働力率(労働参加率)を年齢別に描くと、その形は「M字」となる。人口減少に直面して、日本では女性の労働参加を促し、「M字」の落ち込みを浅くすることの重要性が度々語られてきた。

 そして、今まさに「M字」の落ち込み部分が押し上がりつつある。はたしてこれを素直に喜んでよいのだろうか。

 実はそこには、日本経済が直面する2つの政策課題が反映されている。具体的には「未婚化の進行」と「労働市場における性別格差」だ。



 日本については、女性の労働力率〔15歳以上人口に占める就業者(仕事をしている者)と失業者(就業していないが働く意欲があり実際に求職活動をした者)の割合〕を年齢別に描くと、その形が「M字」となることが良く知られている。20歳代後半から30歳代後半にかけて、女性が労働市場から撤退を余儀なくされる傾向が強いことの投影だ。

 M字となる主な理由としては「出産・育児のための離職」が挙げられる。あるいは「親の介護のための離職」も理由となることがある。しかし、年齢別に見たときに女性の労働力率が「M字」となる国はむしろ少数派だ。主要国では、日本と韓国ぐらいである(図表1参照)。

 日本では、女性の労働参加を積極的にサポートし、「M字」の落ち込み部分を押し上げることの重要性が再三語られてきた。すでに日本の生産年齢人口比率(総人口に占める15-64歳人口の割合)の急落が始まっており、2010年にはG7諸国の中で最低になると予測されている(国連による予測)。

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