「子どもなんて産めないよ…」25歳女性の悲痛な叫び。世帯手取り30万円・共働き夫婦の「親になる夢」を断念させる〈収入以外の事情〉
総務省の「家計調査報告(令和7年)」によると、二人以上の勤労者世帯における1ヵ月あたりの平均消費支出は約34.6万円にのぼることがわかっています。近年、共働き世帯が増加していますが、若い世代の家計に余裕があるとは限りません。本記事では、〈ある固定支出〉に苦しみ、子どもを持つという夢を諦めかけている25歳女性の事例を紹介します。
データが示す家計の実態…共働きの平均生活費は「34.6万円」
近年、家計の経済的事情や社会の価値観の変化により、夫婦ともに働く「共働き世帯」が増加しており、現在ではその数が専業主婦世帯を上回っています。しかし、夫婦で協力して働いたとしても、若い世代の家計に余裕が生まれるとは限りません。
総務省の「家計調査報告(令和7年)」によると、二人以上の勤労者世帯における1ヵ月あたりの平均消費支出(2025年平均)は約34.6万円にのぼります。自立して家庭を築き、日々の生活を送るだけでも、これだけの費用がかかるのが現実です。
親の収入や貯蓄だけでは高額な教育費を賄いきれず、結果として子ども世代が毎月数万円の返済を背負うことになり、新婚世帯の家計を圧迫している現状があります。
これから紹介するのは、この平均的な生活費を下回る「手取り30万円」で暮らしながら、子どもを持つという夢を諦めかけている20代共働き夫婦の事例です。
「毎月4万円も引かれる…」手取り30万円・20代共働き夫婦の家計をさらに圧迫する〈固定支出〉
「共働きだったら、普通に生活していけると思っていました。でも、毎月必ず引かれていく4万円の負担は、想像以上に重いです……」
都内の中堅企業で事務職として働くカナミさん(仮名・25歳)は、昨年、職場の同僚である夫のトモフミさん(仮名・27歳)と結婚しました。カナミさんの年収は約300万円、トモフミさんは営業職で年収約320万円、世帯年収にすると約620万円です。
2人の手取り額は合わせて月に30万円ほど。都内の家賃や生活費を支払うだけで手取りはほぼ消えてしまう計算ですが、若い共働き夫婦の家計をさらに圧迫しているのが「奨学金の返済」という重い固定支出です。
カナミさんは約250万円、トモフミさんは約350万円の奨学金を大学時代に借りており、それぞれ毎月約2万円ずつ、夫婦合計で毎月4万円の引き落としが続いています。生活費からさらに4万円の奨学金を引くと、将来のための貯金に回せるお金はほとんど残りません。
実は、カナミさん夫婦のように奨学金の返済を抱えて社会に出る若者は、決して珍しくありません。生命保険文化センターの「生命保険に関する全国実態調査(令和6年)」によると、教育費に対する経済的準備手段として、子どもが「高校・短大・大学生」の世帯では18.8%が「奨学金など」を利用している実態が明らかになっています。
「子どもは諦めたほうがいいのかな…」夫婦を追い詰める過酷な現実
結婚当初、「子どもは2人ほしいね」と、理想の家庭について語り合っていたカナミさんとトモフミさん。しかし、現実的なマネープランを立てようと、産休・育休中の収支をシミュレーションしてみたところ、過酷な現実に直面しました。
「もし私が育休に入ったら、収入は育児休業給付金だけになるから、家計は今以上に厳しくなるよね。でも、奨学金の引き落としは続くし、赤ちゃんのお世話をするお金もかかる。ミルク代やおむつ代が負担になるなんて考えたくないよ……」
カナミさんの悲痛な叫びに、トモフミさんも黙り込んでしまいました。たしかにトモフミさん一人の収入だけでは、都内での生活費と夫婦の奨学金返済をカバーするのは困難です。しかも、この奨学金の返済はここから先10年以上も続くのです。
「いまの私たちの経済力じゃ、とてもじゃないけど子どもなんて産めないよ……。悲しいけれど、子どもは諦めたほうがいいのかな」
重苦しい空気のなか、2人は「親になること」を断念せざるを得ないという現実に直面しています。
カナミさん夫婦のように、奨学金の返済が苦しい場合には、「減額返還制度」や「返還期限猶予制度」といった救済措置が日本学生支援機構に用意されています。自治体によっては若者の定住や子育て支援を目的として、奨学金の返還を一部支援してくれる「奨学金返還支援制度」を設けている地域もあります。
また、出産時に支給される「出産育児一時金(原則50万円)」や、所得制限が撤廃された「児童手当」など、子育て世帯の経済的負担を軽減する公的な支援も拡充されています。カナミさん夫婦のように、自分たちだけで抱え込んで未来を諦めてしまう前に、まずはこうした公的なサポートや自治体の支援を活用できないか調べ、夫婦で少しでも前向きにライフプランを描ける選択肢を探していくことが大切です。
【参考資料】
総務省「家計調査報告(令和7年)」
生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査(令和6年)
日本学生支援機構「返還が難しくなった場合」

