楽天・石井一久GM

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 最下位に低迷している楽天が三木肇監督の休養を発表し、塩川達也監督代行を経て、吉井理人新監督の就任を発表したのが6月17日。間もなく1か月が経とうとしているが、就任後は勝率5割前後の戦いを見せるなど奮闘している。チームが活気を取り戻す中、浮いた存在になっているのが石井一久GMだ。18年8月に現職に就任し、3年間の監督生活を経て再びGMに復帰したが、優勝争いに絡めないシーズンが続いている。今年限りで退任し、チーム再建に向けて「GM制度」を撤廃する可能性が出てきた。

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オーナーは一瞥もせず

 石井GMの置かれた立場が厳しくなっていることを物語る光景があった。6月中旬に仙台市内で吉井監督の就任会見で、三木谷浩史オーナーと共に同席したが、会見中は一言も発することがなかった。

楽天・石井一久GM

「異様な光景でしたね。三木谷オーナーが話を振ることがなく、一瞥さえしなかった。そもそも途中からの出席でしたし、一人だけ前にネームプレートさえ置かれていませんでした。石井GMがチーム作りの根幹を担っていますが、今回の吉井監督就任は、三木谷オーナーが直接打診しています。結果を出していない石井GMに見切りをつけたと捉えても、不自然に感じません」(楽天を取材するスポーツ紙記者)

これでは強くなるわけがない

 石井GMは18年のシーズン途中に星野仙一氏の後任としてGMに就任。浅村栄斗のFA争奪戦で獲得に成功し、牧田和久(現ソフトバンク4軍投手コーチ)、涌井秀章(現中日)を獲得するなど西武時代のチームメートだった選手を次々に獲得した。GM兼任監督となった21年7月には炭谷銀仁朗(現西武)を巨人からトレードで補強。新たに入閣したコーチ陣も西武出身が多かったことから、「楽天ライオンズ」と揶揄されたことも。
 
「西武から直接獲得した選手は浅村だけだったので、少し気の毒でしたけどね。現役時代に在籍していた西武、ヤクルトの人脈を使って選手、コーチ陣を刷新しましたが、肝心のチーム力が上がらない。GM兼監督に就任した21年は3位、22年から2年連続4位で退任しました。このタイミングで退任するかと思いきや、球団フロントに戻ったのが驚きでした。当時の2軍コーチが『石井GMは三木谷さんの操り人形みたいなもの。現場ファーストではなく、オーナーの顔色を見ている。これでは強くなるわけがない』と冷めた口調で語っていたのが印象的でした」(球団関係者)

「詳しいことはGMに」

 近年、楽天の監督人事は迷走が続いている。今江敏晃元監督が24年に内部昇格で就任し、交流戦で球団史上初の優勝を飾ったが、シーズン4位に終わると、2年契約の1年目にもかかわらず途中解任に。ベンチワークが機能していなかったことが問題視されたが、下馬評が低い中で終盤までCS争いを繰り広げた戦いぶりを考えると、就任1年目を終えたタイミングで電撃解任に疑問符が付いた。昨年には三木肇監督が2度目の就任をしたが、借金7で4年連続4位に。今年は借金が15にふくれあがった交流戦途中の6月10日に、球団が指揮官の休養を発表。事実上の更迭だった。

 石井GMはヤクルト時代にチームメートだった三木監督を19年から2軍監督として招聘している。監督は現場の采配を一任される立場だが、三木監督が驚きの発言を漏らしたのが、5月8日の西武戦(ベルーナ)だった。2−4で敗れた試合後に、新外国人右腕のウレーニャが来日初の中5日で先発した理由を報道陣に聞かれると、「色々な兼ね合いがありますけど、詳しいことは(石井一久)GMに聞いてください」と語った。

「三木監督が選手起用についてGMの意向を匂わせたことは重みがあります。苦悩の表情を見ると、監督としてやりたい野球ができないもどかしさがあったと思います。三木監督に限らず、楽天はフロントが選手起用で口出しして、監督やコーチが不信感を持ってチームを去った歴史がある。球界でこの情報が駆け巡り、誰も楽天の監督をやりたがらない中で、火中の栗を拾ったのが吉井監督でした」

理不尽なことには屈しないタイプ

 吉井監督は日本ハム、ソフトバンク、ロッテで投手コーチを務めてダルビッシュ有(パドレス)、佐々木朗希(ドジャース)の育成に携わり、ロッテの監督を23年から3年間歴任。23年のWBCでは投手コーチとして世界一に貢献している。吉井監督を長年取材するライターはこう語る。

「現役時代は直情型で怒りを爆発させることが珍しくありませんでしたが、指導者になって穏やかになり選手の長所を伸ばす指導法で人望が厚い。長い物に巻かれるタイプではなく、理不尽なことには屈しないので、もし球団フロントが選手の起用法で介入してきたら反発するでしょう。吉井監督にチーム再建を託したのなら、現場の選手起用に口出しするべきではない。フロントも今までの姿勢を見直す必要があります」

 吉井監督は就任会見で、「チームは今、本当に大変な状況になっていますが、楽天イーグルスには若い選手もたくさんいますし、可能性があるチームだと私は信じています。その可能性をしっかり形に変えていけるように、今までの経験、これから勉強していく知識、それらを全部注ぎ込んで、一生懸命やっていきたいと思っています。急に(チームが)強くなるとは思っていませんが、一生懸命やっていきますので、長い目で見てくれたらありがたいかなと考えております」と語っている。

 一朝一夕でチームは強くならない。再出発を図る中で、石井GMの去就はいかに――。

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デイリー新潮編集部