橋上監督代行

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 第1回【巨人が“混セの主役”に躍り出て「橋上代行」に“名将”の声も…元巨人4番が“橋上マジック”の成果は「今のところまだありません」と語る理由】からの続き──。7月13日現在、セ・リーグの1位は阪神、2位は巨人、3位はヤクルト。勝率は1位が5割5分1厘、2位が5割3分8厘、3位が5割0分6厘。まさに“混セ”の名にふさわしい大接戦だ。特に交流戦が始まってから生まれ変わったように快進撃を続けている巨人に注目が集まっている。(全3回の第2回)

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 阿部慎之助・前監督が5月26日に監督を辞任し、橋上秀樹オフェンスコーチが監督代行に就任という驚くべき展開になったのは記憶に新しい。

橋上監督代行

 橋上代行がチームの指揮を執ることが決まった26日は交流戦初戦であり、午後6時から東京ドームでソフトバンク戦がプレイボールという、まさに異常事態と言っても過言ではない状況だった。

 だが巨人は交流戦で勝ち続けた。リーグ戦に戻っても勢いは止まらず、7月7日の阪神戦では劇的な逆転勝利を収めて単独首位に浮上している。

 XなどのSNSでは「橋上代行に変わってから、選手が活き活きしている」との指摘が多い。「優勝の可能性は十分ある」、「橋上監督代行、恐れ入りました」、「橋上さん含め、首脳陣良くやってる」とジャイアンツファンの評価は非常に高い。

 この「活き活きしている」だが、この指摘には今季のヤクルトを思い出す野球ファンも多いのではないだろうか。

 ヤクルトも池山隆寛監督になってから「選手が活き活きしている」と話題を集めた。巨人もヤクルトも若手中心のチームであることも似ている。

 橋上代行と同じように故・野村克也氏の薫陶を受けた“野村学校OB”である野球解説者の広澤克実氏は「とはいえ、阿部監督から橋上代行に変わったからこそ選手が活躍するようになった、と断言できる根拠は何もありません」と指摘する。

「巨人は“日替わりヒーロー”が活躍することで勝ち星を増やしています。つまり今の巨人が好調を維持している原因は、単純に選手が活躍しているだけなのかもしれないのです。実際、監督が誰であっても──つまり阿部監督でも橋上代行であっても──選手が自分自身の力で活躍するということは、プロ野球の世界ではよくあることです。またチームが好調の波に乗ってしまえば、首脳陣が何をしなくても勝ち続けるということも珍しいことではありません」(同・広澤氏)

“主軸”を欠く巨人とヤクルト

 広澤氏は開幕前、1位が阪神、2位が中日、3位が巨人、そしてヤクルトはBクラスと予想していた。中日とヤクルトが入れ替わった格好だが、改めて当時の予想と今の順位を振り返ってもらった。

「予想で巨人を3位にしたのは、“チームの主軸”が不在であることを重視したからです。今の巨人には絶対的なエースや絶対的な4番といった“頼れる主軸”がいません。長いペナントレースを勢いだけで勝つのは無理です。ヤクルトにも同じ懸念を持っていますが、確かに若手中心のチームは勢いに乗ると強いかもしれません。しかし厳しい局面に立たされると精神的に脆いという傾向もあります。長いペナントレースでは必ず苦しい時期が訪れます。巨人もヤクルトも例外ではありません。両チームに“主軸”が欠けているのはマイナスポイントだと判断しましたし、今もその考えは変わっていません」

 広澤氏が「阪神は優勝する可能性が高い」と予想したのは、まさにその逆だ。阪神には投打の“主軸”が揃っている。

「阪神は巨人やヤクルトとは異なり、明確な“勝ちパターン”を持っています。『この投手が投げ、この打者が打てば必ず勝つ』と分かっているチームは苦しい局面でも持ちこたえることができるのです。阪神はもっと余裕をもって戦い、1位を独走していても不思議ではない戦力が揃っています。ということは、今の阪神は潜在能力を充分に発揮できていない状態だと言えます」

ソフトバンク戦は鬼門?

 広澤氏が注目するのは6月9日から11日まで行われたソフトバンクとの3連戦だ。

「ソフトバンク戦が“鬼門”のようになった印象です。そもそも昨年の交流戦で阪神はソフトバンクに負け越し、甲子園でソフトバンクが交流戦優勝を果たしました。小久保監督が『秋に阪神と日本シリーズで戦いたい』と挨拶して物議を醸しましたが、実際に昨年の日本シリーズは阪神とソフトバンクで戦われました。ところが阪神は精彩を欠き、1勝4敗で敗れてしまったのです。しかも今年の交流戦は3連敗でした。あの後、チームの雰囲気が悪くなり、勢いに陰りが出てしまったように見えました」

 阪神はファンから「ここ一番に弱い」と苦言を呈されたり、「あと一歩で常に泣いてきた」と総括されたりした歴史を持つ。特に昭和時代の阪神を知るファンなら「肝心なところで勝負負けする」阪神のイメージを今も鮮明に憶えておられるだろう。

 これが阪神の伝統的な“トラウマ”だと言える。ソフトバンク戦でも、このトラウマが大きな影響を与えたのではないかと勘ぐってしまうほど、阪神は精彩を欠いた。

「気になるのは、以前から在阪メディアを中心に『藤川球児監督の厳しい指揮で選手が萎縮している』、『藤川監督の妥協しない姿勢に選手が不満を持っている』と指摘されてきたことです。私の理解では、監督と選手のコミュニケーションを円滑にするため、和田豊ヘッドコーチに期待が集まっていたはずです」(同・広澤氏)

首脳陣と選手の間に齟齬!?

「私は阪神の内部にいるわけではないので何も知りません。ただし外から見る限り、和田コーチの仕事ぶりが見えにくい状態であることは確かです。もし今後も混セが続き、阪神が苦戦するような場面が増えれば、『藤川監督と選手の間に齟齬があり、それが原因で実力を発揮できていないのではないか』との懸念が現実味を帯びるでしょう。要するに、今の阪神はトラウマなど忘れることができるはずですし、もっと勝っていいはずなのです」(同・広澤氏)

 阪神ファンには非常に申し訳ないが、巨、阪、ヤの3チームが激戦を繰り広げる“混セ”が続けば続くほど、ペナントレースが盛り上がるのは言うまでもないことだろう。

 だが、その後にクライマックスシリーズ(CS)が開催されるということを、私たちプロ野球ファンはどう考えればいいのだろうか。

 実は現行のCSに不満を持っているプロ野球ファンは決して少なくない。第3回【巨人、阪神、ヤクルト“三つ巴の大混セ”で改めて気になる「CSをやる意味って?」…球界関係者がCSを支持する“収益以外の理由”とは】ではファンの声が届かず、なぜCSの開催が続いているのか、その意外な理由について詳細に報じている──。

デイリー新潮編集部