ビットコインの発案者「サトシ・ナカモト」とは何者か? 総資産は10兆円…その正体に迫る最新情報《21世紀最大級のミステリー》
暗号資産の代表、ビットコインが登場して今年で18年になる。しかし、ビットコインの生みの親、サトシ・ナカモトの正体は未だ明らかにされていない。
【画像】ニューヨーク・タイムズが「ナカモトの正体だ」と報じたのは…
これは、IT界における最大のミステリーと言っても過言ではない。(全3回の1回目/つづきを読む)

画像はイメージです ©︎Faustostock/イメージマート
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誰も正体を知らない「ビットコインの発案者」
ビットコインは、2008年8月、何者かが匿名で、bitcoin.orgというドメイン名を登録したことに遡る。
同年10月のハロウィンには、サトシ・ナカモトという名前の人物が、暗号技術ファン向けのウェブサイトに、ビットコインのアイディアを記した論文「Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System(ビットコイン:ピア・ツー・ピア電子キャッシュシステム)」を公開。まったく新しいデジタル通貨の仕組みを構想し、これをビットコインと名付けた。ナカモトの世界デビューである。
2009年1月、ビットコインのネットワークが始動。ナカモトはネットワークを立ち上げるソフトウェアをリリースし、最初のマイニングを行った。マイニングとは、ビットコインの取引にあたって必要となる複雑な計算処理に自分のパソコンを使って協力し、その成功報酬としてビットコインを得ることだ。
現在、95万ブロック以上で構成されるブロックチェーンの最初のブロックには、ナカモトによるこんなテキストメッセージが書き込まれている。
「The Times 2009年1月3日 財務大臣、銀行への2度目の救済措置を検討中」
ビットコイン誕生後の数ヶ月間、ナカモトは110万枚ものビットコインをマイニングによって獲得している。だが、ナカモトのビットコイン・ウォレットには、2009年半ば以降は一度もアクセスがなく、マイニングで得た莫大な資産は今日に至るまで手つかずのままだ。
近年、ビットコインの価格が高騰する中、2025年1月20日にビットコインが史上最高値(当時)の10万9,241ドルを記録した時点では、その資産は1,200億ドルを超えていた。その後の2月時点でも1,070億ドル以上の価値を保っており、ナカモトが今や世界有数の大富豪の1人であることに疑いの余地はない。
ナカモトは、2009年11月から2010年12月にかけて、bitcointalk.orgのフォーラムで活発に活動し、多くのユーザーと議論を交わした。
だが、2011年4月23日に「私は他のことに移ります。ギャビンと皆がしっかり(ビットコインのネットワークを)管理してくれています」という最後のメールを残して、ネット上から忽然と姿を消した。ギャビンとは、ナカモトが後継者としてビットコインの開発全権を託した、アメリカのソフトウェア開発者ギャビン・アンドレセンのことだ。
ナカモトは一体誰なのか?
100名以上の候補者の中から特定されたのは…
ナカモトが登場してから約18年の間、ジャーナリストや研究者が独自調査を進め、100名以上の人物がナカモトの候補として挙げられてきた。
例えば、クリプトグラフィー(暗号学)を研究するアイルランドの学生や、日系アメリカ人のエンジニア、南アフリカの犯罪の首謀者、映画「ビューティフル・マインド」に登場する数学家などだ。イーロン・マスクやスティーブ・ジョブズがナカモトだという憶測が上がったこともある。
SNSでは、ナカモトはサムスン、東芝、ナカミチ、モトローラといった大企業だとする面白画像も登場した。サムスンのサ、東芝のトシ、ナカミチのナカ、モトローラのモトを組み合わせるとサトシ・ナカモトとなるからだ。
そんな中、4月8日、ニューヨーク・タイムズが、ナカモトを特定したとする記事を掲載し、注目されている。著者は調査ジャーナリストのジョン・キャリルー氏。同氏が特定したとする人物は、英国の暗号学者で、ビットコイン・ムーブメントを生み出したアダム・バック氏だ。
バック氏は、ナカモトがネット上でやりとりを交わしていた人物の一人だ。つまり、同紙は、ネット上で交わされていたやりとりは、ナカモト本人であるバック氏が自作自演したものだと見ているのだ。
米有力紙が「バック氏=ナカモト説」を報じた理由
バック氏はこれまでもナカモト候補として挙げられてきたが、キャリルー氏は、なぜ今になって、バック氏がナカモトだと主張しているのか?
同氏はいくつもの根拠を挙げているが、一つには、多くの人々を取材してきた中で培ったジャーナリストとしての直感があると述べている。
米ケーブル局HBOが製作した『Money Electric: The Bitcoin Mystery』を観た同氏は、あるシーンに怪しさを感じた。そのシーンでは、制作者がバック氏の目の前で、ナカモトの正体として疑われている人物の名前を次々と挙げていくのだが、バック氏は自身の名前が挙がると強張り、自分がナカモトであることを必死に否定したうえ、その会話を「オフレコ」にするよう求めたという。
「落ち着きなく泳ぐ視線、ぎこちない苦笑い、そして左手の不自然に震えるような動きは極めて怪しく見えた」
と同氏は記事の中で述べている。
キャリルー氏は、バック氏がナカモトであるという仮定の下、それを立証すべく調査を始める。注目したのは、ナカモトがビットコインについて概説した9ページの論文や、ビットコインのソフトウェアや経済、哲学についてユーザーが議論するオンライン掲示板「Bitcointalk」に残されたナカモトの投稿だ。
それらを分析した結果、キャリルー氏はナカモトとバック氏の共通点をいくつか指摘している。同氏が指摘した共通点は12点に及ぶが、いくつか興味深いものを挙げよう。(つづく)
〈「あなたはサトシ・ナカモトですか?」男は顔を赤らめ、思わず“自白”を…米有力紙が“ビットコイン発案者を特定”と報じた「これだけの根拠」〉へ続く
(飯塚 真紀子)
