被害者の半数以上が韓国人女性…K-POPアイドルが標的とされるディープフェイク性犯罪の深刻な闇
K-POPの世界で活躍するアイドルたちが、ディープフェイク技術を悪用した性犯罪の“最前線”に立たされている。
【写真】LE SSERAFIMは“パンツ見せ”…過激さ増す韓国女性アイドル衣装
LE SSERAFIMが所属するSOURCE MUSICは先日、所属アーティストを狙ったディープフェイク性犯罪を巡り、「合意の意思はまったくなく、法が定める最も強い処罰を望む」との内容を含んだ意見書を提出したことを公表した。
その直前には、aespaのメンバーであるカリナやウィンターのディープフェイク動画を作成し、それを売買していた人物に対して懲役2年6カ月の実刑判決が下されたばかりである。
もはやこの問題は、単なるネット上での誹謗中傷や悪質な嫌がらせと同列に扱うべきではない。K-POPの女性アーティストを対象としたデジタル性犯罪と捉え、芸能プロダクションや司法当局も取り締まりの手を強めている。
芸能事務所の断固たる対応と司法の判断SOURCE MUSICは同日、LE SSERAFIMの権利を守るための公式な声明を発表した。
同事務所は所属アーティストを保護するために独自の監視体制を敷いており、ファンによる情報提供も活用しつつ、悪質な書き込みに対して法的な手段を講じ続けていると明かした。
法的措置の対象は、嘘の情報の拡散や侮辱行為、性的な中傷、あるいは悪意ある投稿など多岐にわたる。韓国国内の主だったネット掲示板において、LE SSERAFIMへの侮辱や虚偽の書き込みを行った人物の告訴を進めており、多くの案件で現在も捜査が継続しているという。
すでに法的な結論が出ている事例も存在する。アーティストを侮辱する投稿を行った者には教育プログラムの受講を条件とした起訴猶予が言い渡され、侮辱やわいせつな表現を広めた者に対しては略式起訴の手続きが取られている状況だと説明した。
こうした取り組みの中で、今回特に深刻な事態として取り上げられたのがディープフェイクを用いた性犯罪であった。

SOURCE MUSICは、LE SSERAFIMに向けられたディープフェイクによる性加害に対して厳正に対応していると強調した。アーティストに関わる児童・青少年性保護法違反や、いわゆる性的搾取物の製造といった事案に対し、被害のケアと犯罪の根絶を目指し、「合意の意思はまったくなく、法が定める最も強い処罰を望む」という内容の書面を提出したことを伝えた。
この文言が持つ意味は非常に重い。ウェブ上の悪質な書き込みに対して「法的対応を進める」とする従来の型通りのアナウンスにとどまらず、犯人との和解や寛大な処置を一切拒絶し、最大限の厳罰を科すよう求めている姿勢を鮮明にしたためだ。
その背景には、K-POPアーティストを標的とするディープフェイク性犯罪が、もはや「悪質ないたずら」や「ネット上の嫌がらせ」という枠に収まらないレベルに達している実態がある。
現に、aespaに関する事案では実際に刑務所への収監を伴う判決が下されている。
SMエンターテインメントは6月18日、aespaのカリナやウィンターのディープフェイク映像を作成し、利益を得る目的で売買していた人物に対し、懲役2年6カ月の実刑判決が出たと伝えた。
大邱高裁の第1刑事部は、被告に実刑の判決を下しただけでなく、性暴力治療プログラムの80時間受講や、児童および青少年に関わる施設への7年間にわたる就職制限も科したとのことだ。
この司法の判断がもたらす影響は極めて大きい。アーティストの肖像を無断で使用して性的な合成動画を制作し、それを販売する行為は、もはや匿名のインターネットの世界だけで完結する問題ではない。実際に刑罰の対象となり、実刑判決を受ける可能性のある犯罪行為であることが、裁判所の決定によって裏付けられたからである。
SMエンターテインメント側も今回の判決を受けて、所属するアーティストを標的にしたデジタル性犯罪やネット上の権利侵害行為に対して、一切妥協しない姿勢で臨む方針を再度表明した。
同社は、ファンによる通報や自社での監視活動を駆使し、様々なネット掲示板やSNS上における悪意ある書き込みやコメントの証拠を数千件規模で集め、警察などの捜査機関に告訴状を提出していると報告した。
データが示す被害の深刻さと今後の展望LE SSERAFIM側の動きとaespaを巡る事件での実刑判決を合わせて考えると、現在のK-POP業界が直面している課題がいかに根深いかが浮き彫りになる。
女性アーティストたちは世界規模で熱狂的なファンを獲得している反面、日々きわめて多くの肖像写真や動画がネット上を駆け巡っている。
ライブの模様や空港でのショット、SNSの更新内容、広告の写真、動画配信のダイジェストなど、知名度が上昇するにつれてウェブ上のコンテンツは爆発的に増加する。その露出の多さが、人工知能を悪用する人物にとって格好の材料として利用されてしまうのである。
公にされている画像や映像を悪用し、本人の意図とは全く無関係な性的なコンテンツを作成して流布・販売する行為は、もはや単なる悪質なコラージュの域を超え、生身の人間を傷つける立派な犯罪として認識され始めている。
米サイバーセキュリティ企業Security Heroの「State of Deepfakes 2023」によると、調査が行われた性的なディープフェイク動画に登場する人物の53%が韓国の女性によって占められていたという。
加えて、被害を受けた人々の職業としては「歌手」が58%と最大の割合を記録したとのことだ。このデータは、K-POPの女性アーティストたちがまさにこうした被害の主要なターゲットにされている現状を物語っている。
LE SSERAFIMやaespaにまつわる出来事は、そうした厳しい現状を如実に表していると言える。

かつてアーティストに対する問題行為といえば、ネット上の罵詈雑言や嘘の情報の拡散、性的な嫌がらせコメント、あるいは悪質なネット動画主によるデマの流布などが主な課題であった。当然、これらも重大な権利侵害であることに変わりはない。しかし、ディープフェイクを用いた性犯罪は、それらとはまったく異なる次元のダメージをもたらす。
ひとたび制作された画像や動画は、ウェブ上で容易にコピーされ、保存され、さらに別のプラットフォームへと飛び火していく。たとえ元を消去したとしても、どこかの誰かがデータを保有し続けているリスクが付きまとう。被害を受けた当本人にとっては、いつ、どこの誰に閲覧されているか把握できない恐怖が絶え間なく続くことになる。SOURCE MUSICが「回復不可能な精神的・物理的被害」と言及した背景にも、こうした事情があるのだろう。
さらに、この問題の本質は動画などを作った人間だけに留まらない。このようなコンテンツを能動的に探し求め、お金を払って消費する層が存在するからこそ、一種の市場が出来上がってしまうのである。
aespaを巡る裁判でも、被告はディープフェイクの動画を商業目的で売りさばいていたとされる。要するに、加害の構造は「作る人」の存在だけで成り立っているわけではない。その裏には、それを手に入れようとし、購入し、広めていく需要側の問題が潜んでいるのだ。
だからこそ、LE SSERAFIMの運営側が「合意も善処もしない」とする強硬なスタンスを大々的に打ち出したことには大きな意義がある。マネジメント会社として所属タレントを保護するのみならず、これらの行為を完全に違法な犯罪として取り締まるという確固たる意志を示したからである。
aespaに関する事案で実刑の司法判断が下された直後、LE SSERAFIM側も毅然とした対処方針を発表した。K-POP業界全体が、この歪んだ問題をこれ以上見過ごすわけにはいかない局面を迎えたことは間違いない。
K-POPの女性タレントたちがディープフェイクを用いた性犯罪の“最前線”に立たされているという切迫した危機感は、今回の一連の動向によっていっそう明確になったと言える。
(記事提供=スポーツソウル日本版)

