ブラジル戦で自陣まで戻ってビニシウス(左)と競り合う堂安=吉野拓也撮影

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[森保J 重かった扉]<中>

 後半追加タイムの失点で敗れたブラジル戦後、ホテルに戻った日本代表の選手たちは、こんな話をしたという。

 「この日本代表の中で、誰がブラジル代表に入れるか」

 欧州王者のパリ・サンジェルマン(仏)の最終ラインを支えるマルキーニョスや、名門レアル・マドリード(スペイン)のアタッカー、ビニシウスらそうそうたる面々と肩を並べることができる選手。堂安(フランクフルト)らが出した答えは「クエスチョン(疑問)だな」。スコアは1―2だったが、選手の多くが数字以上の差を感じていた。

 日本がW杯で敗れるたびに課題に挙がる「個の力」。オランダリーグで得点王に輝き、大舞台に臨んだ上田(フェイエノールト)は、前回大会後から磨いてきたポストプレーに手応えを感じた一方で、独力で局面を打開してしまう相手選手の姿を胸に刻んだ。「格上とのシビアなゲームで勝つには、圧倒的な『個』が必要になるのは間違いない」と語る。

 森保監督が選手たちに欧州5大リーグのクラブを目指すよう促し続けてきたのも、個の力を伸ばすためだ。2024年からドイツの強豪バイエルン・ミュンヘンでプレーする伊藤の経験と言葉が示唆に富む。

 欧州を代表するビッグクラブでは、各国代表のスター選手を相手にした1対1や数的不利の状況を想定したトレーニングが日常になっているという。「日々のレベルが変わったことで、無意識のうちに成長できた」。今大会は全4試合にフル出場し、DFラインを支えた。

 ブラジル戦で、日本はビニシウスに対し、2人がマークについた。決定的な仕事はさせなかったが、堂安ら本来攻撃的な選手が守備に追われてしまっては、反撃の糸口はつかめない。伊藤は「選手が成長していけば、1対1で対応できる形も増えるんじゃないか」と思い描く。

 近年、多くの日本人選手が欧州5大リーグでプレーするようになった。自身初のW杯でビッグセーブを連発したGK鈴木彩(パルマ)や、ブラジル戦で豪快なミドルシュートを決めた佐野(マインツ)は、さらなるステップアップを見据える。伊藤は言う。「個々が力をつけてビッグクラブに行き、また集まれば、いつかいい結果を残せる」