【W杯】ベテラン長友のサムライ魂 招集巡って賛否、議論も…森保Jの武器「組織力」築いた
◇遠かった最高の景色(3)
森保ジャパンの最大の武器となった組織力はいかにして構築されたのか。礎を築き、魂を継承してきたのが39歳で5大会連続出場を果たしたDF長友だ。W杯アジア予選ではベンチ外が続いても決して腐ることなく、若手に声をかけ、練習では誰よりもハツラツと動いた。長友の行動は「フォア・ザ・チーム」の精神を浸透させ、今ではチームカルチャーとして根付いた。
今大会の取材エリアでは選手たちから「ワンチーム」や「チームワーク」という言葉が飛び交った。MF堂安は「この大会はエゴを出す大会じゃない」と言い、自らは無得点に終わっても守備で高い献身性を発揮し続けた。長友が「10番として点を取りたいってギラギラした(堂安)律があれだけ守備に回り続けている」と驚くほどだった。
サポート役として加わったDF吉田、MF南野は自身の経験や考えを伝えながら、洗濯やスパイク磨きなども買って出た。外国勢では決して見られない光景だった。初戦2日前、MF遠藤が離脱したチームが大きく動揺しなかったのもベテランの存在が大きい。選手ミーティングは全4戦で毎試合前に行われ、長友は「すればいいわけではないけど、することによって選手同士のつながりがどんどん強固になった」と振り返った。
「献身」「組織力」は大会を通じ、日本の武器として若手にも引き継がれる。21歳のFW後藤は出番が限られる中でも飲水タイムで積極的にボトルを運び、ピッチ内の選手を鼓舞するなど献身的にサポート。「先輩方の表情や思いを見て、経験をつなげていかないといけないと感じた」と話す。長友はそんな若手たちを見て「チームのため、仲間のために戦うという日の丸の誇りを彼らから感じるようになった。これは日本サッカーの財産になる。そこにちょっとでも貢献できたならうれしい」と言った。
大会前から長友の招集を巡っては賛否、議論が交わされた。ピッチに立ったのもスウェーデン戦の途中出場だけだった。だが日本サッカーが世界に誇る唯一無二の武器を未来へつなぐためには不可欠な存在だった。コーチ陣にも長谷部誠氏、中村俊輔氏らが名を連ね、継承を重視したチームづくりが進められた。ニッポンの魂を4年後、その先もずっと残していくため。その積み重ねが最高の景色へ近づけてくれるはずだ。(特別取材班)

