大丸下関店(6月30日、山口県下関市で)

写真拡大

 大丸松坂屋百貨店が30日発表した大丸下関店(山口県下関市)の閉店は、地方の百貨店が置かれた苦境を改めて映し出した。

 九州・山口の多くの百貨店は、郊外型大型ショッピングモールやEC(電子商取引)サイトとの競争にさらされ、生き残りをかけた戦略の転換を迫られている。(矢野裕作)

 「ニーズの変化に対応できなかった」。大丸松坂屋の成田元司常務はこの日、下関市で開いた記者会見でこう閉店の理由を述べた。

 地方百貨店の多くは、カジュアルファッションの普及に伴って主力の衣料品の低迷にあえぐ。さらに都市部の百貨店を潤す訪日客の高額品需要も地方には及ばない。大丸心斎橋店(大阪市)の2025年度の訪日客による免税売上高は販売全体の4割を占めたが、大丸下関店は3500万円と0・5%にとどまった。20年の大規模改修では家族連れを増やそうと日用品の拡充を図ったが抜本的な改善にはつながらず、岡本健男店長は「力不足だった」と語った。

 百貨店を取り巻くこうした状況は全国の地方都市に共通しており、島根、岐阜、山形、徳島県は既に閉店によって「百貨店ゼロ」となっている。

 九州では、鹿児島市の老舗・山形屋が24年、私的整理を発表し、金融機関から負債の返済猶予を受けるなどして再建中だ。債務超過に陥った大分市のトキハは今年、スーパー部門を売却し、長崎県佐世保市の佐世保玉屋も本館を閉店した。佐賀市の佐賀玉屋は京都の不動産会社に事業譲渡された。

 日本百貨店協会によると、福岡市を除く九州・沖縄の百貨店の売上高はこの10年で3割減り、全国の1割減を上回るペースで減少している。各社は人口の減少が加速する中、テナント構成の見直しなどを進めている。