茨城の暴走族15歳が語った「令和の暴走族」の意外な実情【単車より原付派、タタキに手を出す者も】
土浦の最恐暴走族「幸神會」
「お前、「幸神會」の名前は軽々しく出すなって! 勝手に話すのはマジでヤバいべ!」
5月某日、夕方6時。本誌記者は茨城県のJR土浦駅前に集まる少年たちに「地元で有名な暴走族を教えてほしい」と聞いて回っていた。そのうちの一人がチーム名を出した途端、賑やかな空気が一変。発言した少年は、次々と周囲から責め立てられてしまう。
幸神會とは、土浦市内を中心に活動する暴走族だという。
「怖くて詳しいことは言えない。どうしても彼らと会いたいなら、この辺をノッペ(ノーヘルメット)で走ることだね。すぐ「狩られる」と思うから」
そう忠告を受けるやいなや、「ブォン! ブォン!」と地鳴りのような轟音を響かせる1台の原付バイクが近づいてきた。運転手のヘルメットには、旭日旗がプリントされている。目つきの悪い少年がバイクから降りると、場の空気がピンと張り詰めた。
彼の名はマサヤ(仮名、15歳)。なんと幸神會のメンバーだという。タイトな黒ジャージを着用し、眉毛には剃り込みを入れている。細身ではあるが、拳が異様に分厚い。
おそるおそる取材を申し込むと、こう言い放った。
「すぐ近くに、俺らがよく集まる土手があるから来てくださいよ。土浦の『詰めポジ』(暴行やリンチなどを行う場所)と言ったらココ。よく調子乗ってるヤツを呼んで、詰めるんです。そこで話しましょう」
かくしてマサヤは、本誌記者を誘導したのであった―。
令和に存在する新たな暴走族
関東で暴走族に関する事件が相次いでいる。2月には、東京都八王子市の不良グループと神奈川県相模原市の暴走族の少年ら計23人が、凶器準備集合罪で逮捕された。4月には神奈川県秦野市の暴走族の少年2人が、男性に重傷を負わせたとして捕まっている。
暴走族といえば、リーゼント頭の男が特攻服を着て、集団で改造バイクを乗り回す不良のイメージがつきまとう。
そんな「昔ながらの暴走族」は、ほぼ絶滅したと言っていい。しかし令和のいま、かつてとは外見も内面も異なる、新たな暴走族が各地で台頭している。普段、彼らはどのような活動をしているのか。いまも数多くチームが存在するという北関東へ向かった。
土浦市に拠点を置く暴走族「幸神會」は、約20人の構成員を擁している。
その大半は、高校を中退し、現場仕事をしている10代の少年たちだ。リーダーの年齢は17歳だという。いまは6人のメンバーが諸事情で刑務所に入っている。
「原付は盗みやすいんです」
土手に着いたマサヤは、薄暗い高架下でおもむろにタバコに火をつけると自らの武勇伝を滔々と語り始めた。
「普段は原チャでニケツしたり、警察から猛スピードで逃げる『マッポ(警察官を意味する隠語)ゲーム』をしたりしています。パトカーをおちょくると、『止まれ!』と言って追いかけてくる。そのスリルと興奮がマジたまんないんスよ。単車(本来はバイクの俗称だが、ここでは原付よりも排気量の多いバイクを指す)に乗っているヤツは少ないですね。みんな盗んだバイクで走るんですが、いまは物価高で、単車は街中で見かけない。原付は市内にたくさん置いてあるから盗みやすいんです」
令和の暴走族が行う悪行はそれだけではない。恐喝やひったくりなども頻繁に行っている。昔も同様のことはあったが、最近では薬物の売人やタタキ(強盗)に手を出す若者もいるという。
その犯罪行為の裏側には、「ケツモチ」という存在が大きくかかわっている。ケツモチとは、彼らを管理・統制する後ろ盾のような組織を指す。地元に拠点を置くヤクザや半グレであることが多い。
ケツモチは大きなトラブルが起きたときなどに、収拾に動いてくれることもある。ただ、その代償として、定期的に暴走族のメンバーは「上納金」を支払わなくてはならない。そのため、金策に追われた若者は恐喝などを行う。
なぜ彼らは暴走族に所属するようになったのか。メンバーの一人(15歳)が、こう語る。
「詳しくは言えないけど、メンバーには家庭環境が複雑なヤツが多いんです。他と違うから学校にも馴染めないし、周囲に認められた経験もない。
そんな人間にとって、喧嘩だけが目立つためにとれる手段でした。それで名前を上げて、『トッポいヤツがいるぞ』と噂になり、幸神會にスカウトされた子もいます」
毎晩のように、地元で暴れ回る幸神會だが、土浦市を出て悪事を働くことはできない。
【後編を読む】「カネかタイマンかそれとも…」前橋駅前に集結する「群馬最凶の暴走族」が突きつける「地獄の3択」
「週刊現代」2026年7月6日号より

