高市総理は皇室典範は通すけど議員定数削減はあきらめるのか?荒れる終盤国会は大幅な会期延長も「あり」

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通常国会は会期末の7月17日まで3週間を切ったが、ここに来て大荒れとなっている。

自民党と日本維新の会が提出した衆院の議員定数削減法案は、衆院政治改革特別委員会で中道改革連合、国民民主党など野党5党が欠席する中、与党が審議入りを強行したため野党は衆参両院で事実上一切の審議を拒否しており、国会は「不正常」な状態になっている。

「比例定数削減」に野党は猛反発

法案は与野党協議会で定数削減を検討し、法施行から1年以内に結論が出なければ比例45議席を削減するとの内容だ。

比例定数の削減については少数政党の候補が当選しにくくなり、小選挙区に強い大政党に有利になるということで、野党は軒並み反対に回っている。

ただ衆院は2月の選挙の結果、自民党だけで3分の2を超える多数を占めているのだから、法案を提出すること自体は「民意」を踏まえたものではないか。それを「議会制民主主義の破壊」とまで呼ぶのは違和感がある。

皇室典範改正案に影響との声も

だが議員の「身分」を決める問題なので野党各党は強硬で、国民民主党の玉木雄一郎代表は、与党が強硬姿勢を変えないなら、皇室典範改正案の審議にも影響が出かねないとの認識を示している。

皇室典範の改正は政府の報告書が出た後、4年半の時を経てようやく与野党の総意を高市早苗総理大臣に提出した経緯があり、皇族数確保と安定的な皇位継承に向けて「時間が迫る」中で、今国会で実現しないというのはさすがにないと思う。

一方「国旗損壊罪」創設法案は与党と共同提出して衆院の委員会では賛成した国民民主と参政党が本会議では欠席に回り、こちらは成立が危うくなっている。それにしても共同提出した法案に賛成しないというのは珍しい。

与党の「横暴」か野党の「サボり」かは意見が分かれるだろうが、ヨーロッパ諸国より人口比の国会議員数の少ない日本で定数削減を求める声が多いのは「議員はサボっている」と考えるひとが多いからではないか。

国会正常化のメド立たず

高市氏が予算委の集中審議や党首討論に応じれば国会は正常化に向かうのか。だがそのメドは立っていない。

与野党が最も対立する比例定数削減は少数政党にとっては「党がなくなる」という話なので引くことはできない。高市総理はあきらめるという選択肢はあるのか。

これまでの国会の常識、すなわち国対政治の論理で考えれば、高市氏は自分のこだわりのある皇室典範や国旗損壊罪は何としてもやるが、維新が推す定数削減は「衆院だけは無理して通したけど、参院は過半数ないのでできませんでした」ですませる、というのが「よくあるパターン」だ。

会期延長の可能性も

だが維新も簡単には引っ込まない。吉村洋文代表は衆院の3分の2を使うことを公言している。3分の2の再可決は時間がかかるのでその場合は国会の会期を延長することになる。

側近によると、高市氏は「公約実現のためにはかなり踏み込んだ対応を取るだろうし、特に皇室典範改正などが危うくなれば迷わず会期延長するだろう」とのことだった。

高市氏が60日間の延長を検討しているとの報道もある。

高市内閣の支持率は先々週のFNN産経で少し下がったが、先週の読売新聞、今週の日経新聞と「続騰」しており、この数ヶ月「漸減」していた数字が「下げ止まった」「底を打った」印象だ。

理由は米イラン和平による「安心感」が最も大きいと思うが、週刊文春による「中傷動画」報道を元にした野党の追及があまり効果を挙げていないのではないかと筆者は思っている。

「解散するかもしれないよ」

もう一つ大きいのは内閣支持の理由に「首相の人柄」や「指導力」が常に上位に上がっていることだ。これはすなわち高市氏が公約を実行しなかったら支持率は下がるということだろう。

つまり皇室典範や国旗損壊罪だけでなく、議員定数削減も、さらには食料品の消費税実質ゼロも実現した方が支持率は上がるのではないか。

野党の言うことを聞かず、場合によっては衆院3分の2を使って強引に決めても支持率は下がることはないのかもしれない。そんなことはありうるのだろうか。

だが側近氏に聞いてみると「高市さんなら何でもありだ。60日ルール(衆院で可決後に参院で60日以内に議決されない場合みなし否決となり衆院で再議決できる)を使うのではないか」ということだった。

さらに「国会が止まったら解散するかもしれないよ。あの人はそういう人だから」と呆れたように言っていた。

全部やれば若者の支持は上がる?

側近も呆れるし筆者も「それはないだろう」とは思う。ただ今週の日経の調査では若者の内閣支持率が上がり、高齢者の支持率は下がっていた。

野党を「ないがしろ」にする高市政権の国会運営を高齢者はけしからんと思っているし、与党を含む政治家もメディアも似た考えだが、高市政権を支持する若者はそうではないのだろう。

そうであれば高市さんは議員定数削減も、さらには消費減税も、そして憲法改正も、公約に掲げたことは「全部やる」方がいいのかもしれない。

【執筆:フジテレビ客員解説委員 平井文夫】