ソニーとホンダが計画したEV「AFEELA」! クルマの計画は消滅したけど採用するハズだった「デジタルナンバープレート」ってどういうもの?

この記事をまとめると
■ソニーとホンダがタッグを組んで「AFEELA」というクルマを開発していた
■「AFEELA」にはデジタルナンバープレートを装着できる予定であった
■日本では法規上難しいが海外ではすでに合法になっている場所もある
ナンバープレートがついにデジタル化!?
ソニー・ホンダモビリティ(SHM)が放った「AFEELA(アフィーラ)」という壮大な夢は、基本的には潰えた。ITの巨人と自動車の老舗が手を組んだこのプロジェクトは、AFEELA1および2の開発・販売の中止および事業の大幅縮小という形で、いったん幕を下ろすことになったわけだ。
もはや死に体となったプロジェクトの残骸を眺めていても仕方がないが、そのプロセスのなかで、興味深いトピックは残された。2025年12月、SHMの米国法人が発表した、米Reviver(リバイバー)社との提携である。

彼らはAFEELAのアクセサリーとして「デジタルナンバープレート」を選択可能にするとしていた。クルマそのものが世に出ない以上、この計画も幻に終わるわけだが、「ナンバープレートをデジタル化する」という発想自体は、今後のモビリティを考えるうえで無視できないイシューとなるだろう。
デジタルナンバープレートとは、文字どおり従来のアルミ板に代わり、通信機能を備えたディスプレイを装着するナンバープレートだ。リバイバー社が開発した「RPLATE」は、電子書籍リーダーでおなじみの「E Ink(電子ペーパー)」を採用している。

なぜ液晶ではなく電子ペーパーなのかといえば、理由は視認性と電力にある。バックライト不要の電子ペーパーは直射日光下でも反射で見えにくくなることがなく、表示を維持するだけなら電力を消費しない。過酷な車外環境に置かれるパーツとして、きわめて合理的な選択なのだ。
そして、RPLATEの機能は単なる番号表示に留まらない。ユーザーはアプリを通じ、背景色を白か黒かで選んだり、プレート下部に好きなメッセージやロゴを表示させたりといったカスタマイズが可能。さらに、GPSとLTE通信機能を内蔵しているため、車両が盗難に遭った際にはプレートに「STOLEN(盗難車)」とデカデカと表示させ、リアルタイムで位置を追跡するセーフティデバイスとしても機能する。

米国でクルマを所有する際は、運輸局(DMV)から毎年送られてくる車両登録有効期限のステッカーを、ナンバープレートの隅に貼り替えなければならない。だが、デジタルナンバープレートは、この事務手続きを根本から変える。オンラインで更新手続きが完了すれば、プレート上の表示が自動的に更新されるのだ。ステッカーの貼り忘れで警察に切符を切られる心配もなくなるわけで、これこそが、行政と連携した「モビリティのデジタル化」の真髄であろう。

常識を疑う最新デバイスはこれから先も増える
では、このデバイスが日本の公道を走る日は来るのだろうか。現時点での答えは、限りなく「ノー」に近い。
日本の道路運送車両法において、ナンバープレート(自動車登録番号標)は厳格な規格に縛られている。材質はアルミニウム板等でなければならず、文字の刻印の深さや反射率、さらには取り付け角度までがミリ単位で規定されている。2021年10月からは、ナンバープレートの表示に関する新基準が完全適用され、判読を妨げるような装飾やカバーは一切禁止されたほど。

そしてなにより日本の法律上、ナンバープレートは単なる表示板ではなく、国が発行した「公用文書」に近い性質をもつ。その表示内容をユーザーが通信によって自由に変更できるという概念そのものが、現在の法体系では想定されていないのだ。AFEELAが予定どおり日本で発売されていたとしても、このデジタルプレートが「公道用」として即座に認められる見込みは、万にひとつもなかっただろう。
AFEELAというプロジェクトは結局、「動くスマホ」という理想を形にする前にビジネスとしての持続性を失い、大幅縮小となった。だが彼らがデジタルナンバープレートのような「既存の常識を疑うデバイス」を提示したこと自体には、意義もあったように思う。

米国ではすでにカリフォルニア州やアリゾナ州、ミシガン州などでデジタルナンバープレート装着車の公道走行が合法化されている。そして、ドバイなどの先進的なスマートシティでも、導入に向けた動きはあるようだ。世界が「鉄板」を捨ててデータへと移行するなかで、旧態依然とした(?)アルミ板を後生大事に守り続ける日本の法規が果たして正解なのか? 必ずしもハイテクデバイスが正解であるとは限らないはずだが、意見はわかれるだろう。

AFEELAプロジェクトは大幅縮小されておおむね頓挫したが、このデジタルナンバープレートが突きつけた「ナンバーのあり方」という問いは、次世代のモビリティ開発者たちへの宿題として残されたように思う。技術はすでにそこにある。あとは我々ニッポン社会が、それを受け入れる覚悟をもっているかどうかだ。






