ミッドシップレイアウトを採用した流麗ボディが美しい!

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e-POWERの源流となった挑戦的スポーツカー

 静かな街中を走る電気自動車が当たり前の存在になりつつある今、自動車の進化は環境性能と走る楽しさをどう両立させるかという問いと常に向き合っています。

 その答えをいち早く提示していた一台が、今から十年以上前に登場していたことをご存じでしょうか。

【画像】超カッコイイ! これが“1.2リッター400馬力オーバー”の日産「斬新“MR”スポーツカー」です!(23枚)

 インフィニティが2012年に発表したコンセプトカー「エマージ」は、単なる未来予想図ではなく、技術と情熱が凝縮された象徴的な存在でした。

 エマージが初めて姿を現したのは、2012年の「ジュネーブモーターショー」です。当時はまだEVが一般的とは言えず、電動化は実験的な取り組みという印象が強い時代でした。

 その中でこのモデルは、デザイン性、走行性能、環境性能を高次元で融合させた一台として大きな注目を集め、同年のオートモーティブ・ブランド・コンテストではブランド部門の最優秀賞にも輝いています。

 このクルマの大きな特徴は、インフィニティとして初めてレンジエクステンダー方式を採用した電動スポーツカーである点です。

 レイアウトはミッドシップで、見た目の美しさだけでなく運動性能も強く意識されています。

 しかも展示用の模型ではなく、実際に走行可能なプロトタイプとして開発されており、電動化時代におけるスポーツカーの具体像を示す役割を担っていました。

 開発のベースとなったのは、ロータスの「エヴォーラ 414Eハイブリッド」です。車体にはアルミニウム材を接着して組み上げるVVAと呼ばれる構造が用いられ、軽量かつ高剛性を実現しています。

 そこにカーボンファイバー製のボディを組み合わせることで、車両重量は1598kgに抑えられました。

 ボディサイズは全長4462.8mm×全幅1953.3mm×全高1219.2mm、ホイールベース2623.8mmと、低く構えたワイドなプロポーションが印象的です。

 エクステリアは、当時のインフィニティが掲げていた「ダイナミック・アデヤカ」というデザイン思想を色濃く反映しています。

 滑らかな曲線と鋭いラインが共存する造形は、見る角度によって表情を変え、官能性と力強さを同時に感じさせます。

 フロントからリアへ流れるラインはスピード感に満ち、各部に設けられたエアロパーツは空力性能の向上にも寄与しています。

 パワートレインも非常に革新的です。システム全体で402bhpを発揮し、後輪それぞれに配置されたモーターによって駆動されます。

 ガソリンエンジンは車輪を回すためではなく発電専用として使われ、実質的には電気自動車として走行します。

 バッテリーのみでも約48kmの走行が可能で、エンジンによる発電を組み合わせることで航続距離は約480kmに達します。

 発電用エンジンには、ロータス製の1.2リッター直列3気筒ガソリンエンジンが採用され、効率の良い回転域で運転されるよう最適化されています。

 その結果、0-96km/h加速は約4秒、CO2排出量は55g/kmという、当時としては驚異的な数値を実現しました。

 このプロジェクトは、英国政府の技術戦略委員会との協力のもと進められ、低炭素社会を見据えた技術開発の象徴でもありました。

 エマージを振り返ると、現在の日産e-POWERへとつながる思想の原点がすでにここにあったことに気づかされます。コンセプトカーという枠を超え、未来を先取りしていた一台だったと言えるでしょう。