ロイターが関係筋からの情報として「中国の政府機関がRISC-Vの利用を推奨する政策ガイダンスを2025年3月中に発表予定」と報じました。中国ではチップの設計や製造に関する研究が活発に行われており、政策ガイダンスの策定によってRISC-Vを採用する製品が多数登場する可能性があります。

Exclusive: China to publish policy to boost RISC-V chip use nationwide, sources say | Reuters

https://www.reuters.com/technology/china-publish-policy-boost-risc-v-chip-use-nationwide-sources-2025-03-04/

The state of global chip research - Emerging Technology Observatory

https://www.eto.tech/blog/state-global-chip-research/

記事作成時点でPCやスマートフォンに搭載されているCPUのほとんどは「x86」もしくは「Arm」というアーキテクチャを採用しています。しかし、x86アーキテクチャはIntelとAMDがほぼ独占的な権限を保有しており、他社がx86を採用するのは困難です。また、Armアーキテクチャは比較的多くの企業によって採用されていますが、Armアーキテクチャを使うには権利を保有するArmに多額のライセンス料を支払う必要があります。

一方で、RISC-Vはオープンソースで開発されており、ライセンス料を支払うことなく自由に製品を開発できます。このため、技術大国であるアメリカから厳しい輸出規制をかけられている中国ではRISC-Vに関連する技術の開発が活発に行われており、2024年4月にはアメリカ商務省が「中国によるRISC-V関連技術の開発がアメリカの国家安全保障に与えるリスク」を調査していることも報じられました。

ロイターが新たに入手した情報によると、中国の「国家インターネット情報弁公室」「工業情報化省」「科学技術情報通信省」「国家知識産権局」を含む8つの政府機関がRISC-Vの使用を推奨するガイダンスを作成しており、2025年4月中に発表予定とのこと。中国政府によるRISC-Vの使用推奨は西側諸国への依存を減らす政策の一部と考えられています。

ちなみに、Emerging Technology Observatoryが「2018年から2023年にかけて公開されたチップ設計および製造に関する研究論文の数」を調査した結果、中国が公開した論文は16万852件にのぼり、アメリカの7万1688件に2倍以上の大差を付けて世界で最も多くの論文を公開していることが明らかになっています。



なお、RISC-Vに関する研究は中国以外でも活発に行われています。例えば、2025年2月9日には元Intel社員のアーキテクトたちによって設立されたRISC-V開発企業のAheadComputingが2150万ドル(約32億円)の資金を調達したことを発表しています。このAheadComputingの取締役会には伝説的アーキテクトのジム・ケラー氏も名を連ねています。





また、すでにRISC-Vを採用した製品が数多く登場しており、RISC-V向けのソフトウェア開発環境なども整備されています。日本でも手軽に入手できるマイコンボード「Raspberry Pi Pico 2」にもRISC-Vコアが内蔵されており、RISC-V向けのアプリケーションを実行することが可能。以下の記事では実際に「LEDを点滅させる」というプログラムをRISC-Vコアで動作させる方法を解説しています。

「Raspberry Pi Pico 2」のRISC-VコアでLチカを実行&デバッグしてみた - GIGAZINE