https://youtu.be/osYpGSz_0i4?si=77lVJzGphRne6wls

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『THE BATMAN-ザ・バットマン-』(2022)『TENET テネット』(2020)のロバート・パティンソン主演、『パラサイト 半地下の家族』でアカデミー賞作品賞・監督賞のポン・ジュノ監督による最新作『Mickey 17(原題)』の米予告編映像が公開された。キャストや監督のファン他、SFファンも必見の一作だ。

原作はエドワード・アシュトンによる小説『ミッキー7』(早川書房)。取り柄のない落ちこぼれの主人公が、取り柄のなさを逆に活かして自らの命を「使い捨て」にして危険任務を行なっていくSF小説だ。宇宙開発環境を舞台に、死ぬたびに過去の記憶を受け継いで新たな身体で復活する主人公ミッキーの奇想天外な物語を描く。

ある時、瀕死の任務でいつものように死ぬはずだったミッキー7(=7体目のミッキー)だが、うっかり生還。すると、次のミッキーであるミッキー8が出現しているではないか。「もし司令官に知れたら……」「おまえだって、わかっているだろう。俺たちのどっちかが消えなきゃならないことくらい」。さぁミッキー7とミッキー8の二人の“俺”は、一体どうする?という内容だ。

原作は、本来は一人しか居られないはずの自分自身が同時に複数存在し、自らの存在を考察するという点で哲学要素を含むかと思えば、意外にもSFエンタメに徹する話運びが心地よい。SFでは定番であるクローンものに新たな魅力をもたらした良作だ。『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(2014)ではトム・クルーズが不屈の精神や使命感とともに死と再生を繰り返したが、本作の主人公はもっと人間臭く奮闘する。

この映画版ではタイトルが『Mickey 17』となっているので、これまでに主人公は16回の死と復活を経験したという形にて、さらに悲惨な人生を繰り返している設定に拡張されたようだ。『ザ・バットマン』のブルース・ウェインや『TENET』のニールでのクールな印象とは真逆、今作では“自らの命を何度捨てても構わない”という異常な任務を志願するに至ったミッキーの、独特の性格を表現している。

彼のキャラクターがよく現れているのが、映像の00:48で焼却処分される場面だ。ボディバッグに入ったミッキーが「まだ生きている」ことに職員が気づいて驚くが、当のミッキーは「かまわんよ」とダルそうな口ぶり。これから自分は灼熱のマグマで焼かれて死ぬことになるのだが、どうせ記憶を受け継いだ新しい自分が出現するから良い……。人と全く異なる生死感を持っているミッキーの奇妙な性格がものの数秒でわかる。

映像でミッキーは軽妙なテンポとともに死を繰り返す。やがて自室ベッドに戻ると、そこには別の自分がいるではないか。ロバート・パティンソンのファンにとって、彼の姿がダブルで楽しめるということで、劇場では目が忙しいことになりそうである。

共演には「ウォーキング・デッド」や『NOPE/ノープ』(2022)のスティーヴン・ユァン、『ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE WITH SOMEBODY』(2022)のナオミ・アッキー、『ヘレディタリー/継承』(2018)のトニ・コレット、そして『アベンジャーズ』ハルク役などのマーク・ラファロ。ラファロは『哀れなるものたち』(2024)でも曲者で哀れな中年男性を演じたが、本作で演じる役も一筋縄では行かなそうだ。脚本はポン・ジュノが兼任。

『Mickey 17(原題)』は2025年1月31日、US公開予定。

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