「年配の職人さんにセクハラされていて、何の気なしにそのことで愚痴をこぼしたんです。そうしたら『君に対してそんな真似をするヤツは許さない。俺が何とかする』と。実際、ほどなくしてセクハラしてきた職人さんの姿がなくなりました。人づてに聞いた話ですが、何らかの力が働いたようで……」

 自らを助けてくれた上司を異性として意識するまでさほど時間はかからなかった。それから何度か2人で飲みに行き、菅野さんは上司と身体の関係を持った。関係はその後長らく続いている。

「飲みに行って、仕事の話をして褒めてもらう。それからホテルに行くか、ウチに来て……っていう感じで、月に1回モチベーションを保つうえで欠かせない行事のようになっています。正直、今も仕事はつらいですが、その時のためだけにがんばっている感じはありますよ。どんな福利厚生よりも役に立っていると思っています」

 充実した日々を送っているかと思いきや、目下の悩みがあるそうだ。

「前の部署にいた時に一緒だった事務の女性社員と怪しい感じがして……。今は仕事の接点はないはずなのに、ちょいちょい連絡を取っているみたいで。こればっかりは許せないんですよね……」

 仕事を続ける理由は人それぞれ。あなたの同僚も意外なことをモチベーションにして、仕事に励んでいるのかもしれない。

<TEXT/和泉太郎>

【和泉太郎】
込み入った話や怖い体験談を収集しているサラリーマンライター。趣味はドキュメンタリー番組を観ることと仏像フィギュア集め