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●葛飾柴又さんぽが今、楽しい! 寅さんの聖地、帝釈天参道に「草だんご」を食べに行ってみた。

 帝釈天へ向かう参道に雰囲気たっぷりなお土産や飲食店が並ぶ葛飾柴又は、日本を代表する名画『男はつらいよ』の聖地であり、「草だんご」が有名です。江戸時代に農家で作られていたよもぎ入りの草だんごが人気となり、柴又名物になりました。

 週末は下町さんぽを楽しみながら老舗の草だんご屋を巡り、帝釈天へお参りに行ってみましょう。

寅さんの面影を追いかけながら帝釈天参道を行く

柴又駅の中には寅さんの路線図アートが。駅名に見せかけて映画の作品名が書かれている

 柴又は、山田洋次監督、渥美清主演の『男はつらいよ』シリーズとは切っても切れない場所です。ドラマ化のあと映画化され、1969年からの26年間で全48作品が公開された超人気作品。今もなお、人々に愛され続けています。

 主人公の“寅さん”こと、車寅次郎の実家「くるまや」があるのが帝釈天参道。フーテンの寅さんがあちこち旅をしては、騒動を起こしたり巻き込まれたり、登場するマドンナたちに恋をするのが毎度お馴染みの展開です。トラブルメーカーなのにやさしくて憎めない寅さんから目が離せません。

寅さんの目線の先には見送る妹のさくら像がある

 最寄り駅は、東京で数少ない単線の京成金町線・柴又駅。駅のホームにも、そこかしこに寅さんがいます。駅を出るとそこには、トランク片手に旅立つ寅さん像。『男はつらいよ』の世界にどっぷり浸ることができますよ。

 駅から徒歩1分もせずに帝釈天参道へ。昔ながらの懐かしい雰囲気の店が並んでいます。

草だんごで、映画の聖地巡り。柴又を代表する老舗和菓子屋『高木屋老舗』

木造の瓦ぶきの建物

『男つらいよ』の撮影時に休憩や更衣室として使われた縁が深い店がこちら。向かい合うようにお土産販売店と喫茶店があります。

「草だんご」200円

「草だんご」は喫茶メニューにもありますが、気軽に串一本から購入して、店前のベンチで食べたり、食べ歩きすることができます。

3粒のだんごにつぶあんがたっぷり

 つぶあんにコクがあり、だんごがやわらかい。あんこに負けない草の味で、あんことだんごのバランスがもはや芸術の領域。さすが、老舗の味わいですね。

●SHOP INFO
店名:高木屋老舗

住:東京都葛飾区柴又7-7-4
営:お土産9:00~17:00、喫茶10:00~16:00

映画撮影にも使われた歴史を持つ『門前 とらや』

店は平成元年に建て替えられている

 高木屋の少し先に見えるのが『門前とらや』。店員さんによると、映画の1~4作目まで旧店舗が撮影に使われていたそうで、店自体は新しくなりましたが、撮影に使われた階段は今もなお、残っています。

400円

 喫茶で注文すると、お皿にだんご6個とつぶあんが添えられて出てきます。ほんのりよもぎの香りがして、甘くて口溶けの良い自家製あんこがまた秀逸!

●SHOP INFO
店名:門前 とらや

住:東京都葛飾区柴又7-7-5
営:平日10:00~17:00、土日祭日9:00~17:30
休:不定休

出来立てを味わえると話題!『吉野家』の手づくり草だんご

喫茶は無く店の前にベンチがありそこに座って食べられる

 他の店と違って、『吉野家』は「草だんご」一筋。よもぎが濃いと噂で、ひと粒から購入できます。味はあんこか黒蜜きなこから選べました。

ひと粒70円 [食楽web]

 あんこを頼むと、色の濃い大きめのだんごに、こしあんがたっぷり。口に入れた瞬間、よもぎの豊かな香りが広がります。だんごはあたたかく、おもちのようなやわらかさ。やわらかさは4店舗中1、2を争います。

●SHOP INFO
店名:吉野家

住:東京都葛飾区柴又7-6-18
営:10:00~売り切れまで
休:不定休

帝釈天のすぐそばにある『亀家本舗』

左手から喫茶コーナーに入ると寅さんグッズが並んでいる

 参道を歩いていき、帝釈天もすぐそこという場所にある『亀家本舗』。「男はつらいよ」に登場するだんご屋のモデルだそう。

「アイス草だんご」450円

 喫茶には草だんごの他に「アイス草だんご」という独自メニューがあります。草だんごにあんこ、丸いバニラアイスクリームという、盛りだくさんの組み合わせ。冷たいアイスクリームとあんこが口の中で混ざり合い、だんごをより引き立ててくれます。だんごはつるんとした口当たりでやさしいです。

●SHOP INFO
店名:亀家本舗

住:東京都葛飾区柴又7-7-9
営:9:00~17:00
休:月曜

見どころいっぱいの柴又を満喫して

木彫に彩られた二天門

 食べ比べてみると全てのお店に個性があり、甲乙つけがたいおいしさでした。各店、お持ち帰り用もあるので、お土産にすることもできます。

 グルメ巡りだけじゃなく、お参りも忘れてはいけません。帝釈天は“彫刻の寺”と言われるほど彫刻が素晴らしいことで有名。彫刻ギャラリーもあるので、アート好きはぜひ拝観してみて。近くの矢切の渡しや寅さん記念館でたっぷり観光して帰れます。葛飾柴又の風景に、過ぎ去った昭和を想いを馳せてみてください。

(撮影・文◎乃々)