世界30の国と地域からメディアとインフルエンサーが集った、アップルのスペシャルイベント(筆者撮影)

アップルは9月9日(現地時間)、本社横のスティーブ・ジョブズシアターでスペシャルイベントを開催。9月20日に「iPhone 16シリーズ」を発売すると発表した。

今回の発表会、個人的には「どうせ、Apple Intelligence推しだろう」と、あまり期待していなかったのだが、ふたを開けてみれば、カメラアプリの操作性を向上させる「カメラコントロール」、さらにiPhone 16 Pro Maxでは大画面化され、電池容量も大型化されるなど、使い勝手や基本的な性能が向上。

また、こちらも大画面で薄く軽くなったApple Watch Series 10や、AirPods 4など、話題豊富でお腹がいっぱいとなった。現地で取材しているが、正直言って、かなり時間が足りなく焦るばかりだ。

【写真】Apple Intelligenceにメールの返事を書いてもらう様子。新しいボタン「カメラコントロール」からズームを変化させる場面も

強くオススメできるのは無印のiPhone 16

iPhone 16シリーズ4モデル(iPhone 16、iPhone 16 Plus、iPhone 16 Pro、iPhone 16 Pro Max)をそれぞれ現地で触ってみたが、幅広い人に強くオススメできるのは無印のiPhone 16ではないか、という結論にいまのところなっている。


ブラックチタニウムの6.3インチiPhone 16 Pro(写真左)と6.9インチiPhone 16 Pro Max(筆者撮影)

今回、ティム・クックCEOは「iPhone 16シリーズはApple Intelligenceのためにイチから設計したiPhoneだ」と強調していた。

実際、現場でApple Intelligenceが動く様子を取材したが、とにかく「新しいiPhoneのスタートラインに立った」といえる進化を感じている。

届いたメールに対して、要約してコンパクトに見せてくれるだけでなく、内容に応じた返事を考えてくれる。

大量に保存されている写真のなかから「赤い服を着て、草原を走っている写真を母親にメッセージで送って」とSiriに頼めば、複数のアプリをまたいでの処理も実行してくれる。

iPhoneにはメールや写真、メッセージなど膨大なデータが保存されているが、そうしたデータの扱いをSiriにお願いすることで、指でチマチマ入力することなく、処理してくれるという操作性は本当に画期的で可能性を感じずにはいられない。


Apple Intelligenceにメールの返事を書いてもらう(筆者撮影)

このApple Intelligenceを普段使いするためにも、iPhone 16シリーズに乗り換えるべきなのは間違いない。

カメラ専門機のような使い勝手

もうひとつ、iPhone 16シリーズで注目なのが「カメラコントロール」だ。本体側面にボタンが内蔵され、強く押すとカメラが起動し、軽く押すとカメラの撮影や設定メニューが出るようになっている。iPhoneを横持ちすると、ちょうど右手の人差し指が触れる部分にカメラコントロールボタンが来るので、本当にカメラ専門機のような使い勝手で撮影ができるのだ。

もちろん、他のAndroidスマートフォンでも、右手の人差し指が当たる場所にシャッターとして機能するボタンを配置したメーカーもいくつかあった。しかし、それらはいずれも「シャッター」としてしか使えないものばかりであった。


カメラコントロールからズームを変化させることができる(筆者撮影)

アップルの「カメラコントロール」がすごいのが、シャッターだけでなく設定の変更もできてしまうという点だ。このあたりの使い勝手の良さを追求するあたりはアップルの得意芸といえるだろう。

今回、iPhone 16シリーズでは全4モデルでApple Intelligenceとカメラコントロールに対応する。前モデルから大幅なアップデートがされたにもかかわらず、iPhone 16の無印は、128GBで12万4800円となっている。

本来、日本の場合、昨今の円安傾向で、スマートフォンの値段が軒並み高騰してるが、この値付けでいくと、レート換算としては142円となっている。2カ月前には160円をつけるなど、ここ最近の円相場は乱高下しているが、そんななか、142円とこの数カ月では最も円高傾向に触れたレートで値付けをしているということは、アップルとしては相当、頑張った結果なのだろう。

4モデルのなかでも買いやすく、使える機能も豊富とあって、今後、数年間、安心して使える機種としてiPhone 16は間違いなく「買い」なのではないだろうか。

市場から姿を消しつつある「iPhone 15 Pro」

一方で「Apple Intelligenceだけでも使いたい」というのであれば、型落ちとなったiPhone 15 Proも狙い目だったりする。

しかし、アップルのサイトを見ると、すでにiPhone 15 Proはラインナップから消えている。また、各キャリアのオンラインショップでは「在庫なし」、家電量販店のSIMフリーも「販売終了」といった表示がされており、市場から姿を消しつつあるのだ。

Apple Intelligenceは、iPhone 15シリーズにおいては、ハイエンドモデルとなるiPhone 15 ProとiPhone 15 Pro Maxのみが対象となっている。

いまでも値下げされ販売が続いているiPhone 15とiPhone 15 PlusはApple Intelligence非対応なのだ。

本来なら型落ちとなったiPhone 15 Proを入手し、Apple Intelligenceを楽しむのが最もお得な方法なのだが、残念ながらiPhone 15 Proが買いにくくなっている。

ただ、Apple Intelligenceは10月から英語版が使えるようになるものの、日本語として動くのは2025年中となっている。つまり、iPhone 16シリーズを焦って買ってもすぐにApple Intelligenceが使えるわけではないのだ。

であれば、街中にあるキャリアショップなどで週末に限って売られそうな「iPhone 15 Pro」が出てくるまでしばらく待ってみるというのもアリかもしれない。

iPhone 15 Proが公式ルートで売られなくなったからといって、当然、どこかに在庫は存在する。それらを処分するルートはあるわけで、型落ちになり、家電量販店などの週末セールとして出てくる可能性は極めて高いだろう。

Apple Intelligenceの日本語版が提供されるのをのんびりと待ちつつ、iPhone 15 Proの掘り出し物が出てくるのを待つというのも楽しい買い方のひとつなのかもしれない。 


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(石川 温 : スマホジャーナリスト)