Photo: Matt McClain/Getty Images

TECH INSIDER 2024年7月4日掲載の記事より転載

・7月1日はメタにとって厳しい日となった。

・欧州委員会によると、メタの「お金を払うか、広告を見るか」という広告モデルはEUのデジタル市場法に違反しているという。

・EUは以前、アップルにも同様の法律違反を言い渡していた。

マーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)のメタ(Meta)が、欧州連合(EU)からの悪い知らせを受けた。

EUの行政執行機関である欧州委員会(EC)は7月1日(現地時間)、メタの「お金を払うか、(広告を見ることに)同意するか」という広告モデルは、EUのデジタル市場法(DMA:Digital Markets Act)に違反しているという予備審査結果を発表した。

2022年にEU規制当局がメタに対し、ユーザーが同社のソーシャルプラットフォーム上での活動に基づいてパーソナライズされた広告の表示を解除できるようにしなければならないという指導を行ったことを受け、2023年にメタがこうした広告モデルをEUで導入した。このモデルではユーザーは月額料金を支払ってフェイスブック(Facebook)やインスタグラム(Instagram)の広告を非表示にするか、無料で続けるためにパーソナライズされた広告を受け取るかを選択することが求められる。

EU規制当局は「欧州委員会の予備調査の見解は、この二者択一では個人データと(広告を)組み合わせることへの同意をユーザーに強いることになり、パーソナライズされていない同等のバージョンをメタは提供していない」と述べた。

メタは、この予備調査結果に対して書面で回答する機会を与えられている。欧州委員会は3月25日に開始した調査を、12カ月以内に終わらせる予定だ。

最終的に、コンプライアンス違反と規制当局が判断した場合、メタは世界全体の収入の最大10%という制裁金に直面する可能性がある。

メタの広報担当者は、「広告なしのサブスクリプションは、ヨーロッパの最高裁判所の指示に従い、DMAに準拠している。欧州委員会と建設的な話し合いを重ね、この調査が終結することを期待している」と述べた。

昨年、メタはフェイスブックユーザーのデータをアメリカに転送したとしてEUの規制当局の監視下に置かれ、13億ドル(約2100億円)の制裁金を科せられた。

テック大手で、3月に施行されたDMAに違反したとして告発されたのはメタが初めてではない。

欧州委員会は最近、アップル(Apple)に対し、同社のApp StoreがDMAに違反しているとの予備的調査結果を通知し、 「アプリ開発者が、選択可能な提供チャネルやコンテンツを自由に消費者に紹介することを妨げている」とした。

Sarah Jackson [原文]
翻訳:Ito Yasuko
編集:井上俊彦
Photo: Matt McClain/Getty Images