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KDDIは、9月13日から新料金プラン「auデータMAXプラン Netflixパック」の提供を開始すると、都内で8月28日に開催した「au UNLIMITED WORLD発表会」で明らかにしました。データ上限なし、Netflixが見放題で月4,880円〜(価格表記は税別、以下同)という内容です。「5G時代を先取りしたプラン」と自信を見せる新プランの内容を、発表会の模様とあわせて紹介しましょう。

○「auデータMAXプラン Netflixパック」とは?

KDDIは、今年6月に「auデータMAXプラン」を発表し、それに先だって昨年から「auフラットプラン25 Netflixパック」を提供してきました。今回の「auデータMAXプラン Netflixパック」は、いわば両プランをかけあわせたもの。さまざまな割引条件を適用する前の料金は月8,050円ですが、「2年契約N」適用で月170円を、auスマートバリュー(固定回線のセット割引)で月1,000円を、家族割プラス(2人以上で加入)で月1,000円を、スマホ応援割プラス(本プランの申し込み時に適用されるキャンペーン、6カ月間)で月1,000円を割り引くと、月額の料金は4,880円〜となります。

月間データ容量の上限はありませんが、テザリング・データシェア・世界データ定額を利用した場合、2GB / 月の制限が設けられます。利用できるNetflixのプランは、TV番組、映画、ドキュメンタリーなどをSD画質で視聴できる「ベーシックプラン」で、HD画質の「スタンダードプラン」には400円 / 月、4K画質の「プレミアムプラン」には1,000円 / 月の追加料金でアップグレードが可能です。

登壇したKDDI 代表取締役社長の高橋誠氏は「今後は、料金プランにバンドルされるOTT(オーバー・ザ・トップ)プレーヤーでキャリアが選ばれる時代が来ます。例えるならば『Netflixを見るならどの通信会社のプランが良いか』ということ。KDDIでも、そうした事業者の方たちと一緒に取り組んでいきます」とアピールしました。

○ピカピカ4G+スペシャル5G

発表会のプレゼンでは、KDDI5Gに向けた取り組みについても説明がありました。5Gのサービス開始は2020年3月を予定。それまでに設置される基地局数は4万2,863局で、これはNTTドコモ、ソフトバンクの1万局と比較してダントツに多い数です。サービス展開のイメージについては「ピカピカの4G+スペシャルな5Gのハイブリッドでネットワークを作っていきます」と高橋社長。

今後の意気込みについては「大量のデータを瞬時にストレスなく扱え、制約から解放されるのが5G時代。ユーザーの皆さんの体験価値が広がります。KDDIでは、5G時代のUNLIMITED WORLDを提供していきたい」と力を込めていました。

5Gで未来を拡張していく

では、具体的に5Gによりどんな未来を実現する考えなのでしょうか。この日、いくつかの取り組み事例が紹介されました。例えば、渋谷の魅力を発見・発信する「渋谷エンタメテック推進プロジェクト」では、渋谷の一部を5Gエリア化したうえで、専用アプリを通じて渋谷の街に飲食店情報などをARで表示します。空中を浮遊するオブジェクトが街を賑やかに彩る様子なども楽しめる、とも説明しました。

スポーツの分野にも5Gの新技術を積極的に導入していきます。「野球」に関しては、横浜DeNAベイスターズと5G時代のスマートスタジアムの実現に向けてパートナー契約を締結。「サッカー」に関しては、名古屋グランパスとパートナー契約を締結しました。ともに、ARや自由視点など5Gならではの新技術により、スポーツ観戦のあり方を変えていきたい考えです。「大学スポーツ」に関しても、UNIVAと5年間のパートナーシップ契約を締結。日本のスポーツ界の発展に貢献していきたいとしています。

「拡張、という意味の英単語『augment』の綴りは、auから始まります。リアルの世界の体験を5Gネットワークで新たに創造していくことで、お客さま体験価値をさらに拡張していきたい」と高橋社長は抱負を語ります。

○既存サービスもアップデート

発表会では、既存サービスのアップデートも発表されました。

月額情報料499円の「auスマートパスプレミアム」は2019年11月以降、映像・音楽・書籍サービスなどのデジタルコンテンツや、ライブチケットの先行予約などの特典が大幅に拡充されます。例えば、最新のJ-POPから懐かしの名曲まで、さまざまなプレイリストが聴き放題になります。また、ファション誌や週刊誌を含む雑誌約30誌が毎日読み放題になります。DCコミックスの映画作品の独占配信を含む話題の映画・ドラマ・アニメが見放題になる特典も用意。2020年3月以降は、XRや4K映像、スマートデバイスを活用した、臨場感が味わえるデジタルコンテンツの提供が予定されています。

「au PAY」と「au WALLET プリペイドカード」が8月29日よりキャリアフリー化するのも注目です。これにより、auユーザーでなくても200円につき1ポイントのau WALLETポイントを貯めることが可能になります。高橋社長は「au PAYを、つながり続ける5G時代にもイチバン安心して使えるペイサービスにしていきたい。我々のサービスは徐々にオープン化していきます」と説明しました。

○高杉くんらが新CMを披露

このあと壇上では、テレビCM「意識高すぎ!高杉くん」シリーズでおなじみの神木隆之介さん(高杉くん)、松本穂香さん(松本さん)、中川大志さん(細杉くん)が登場。au WALLETポイントの新CM「カラオケ」篇を披露したあとにトークセッションを行いました。

○楽天参入のインパクトは?

質疑応答では、記者団から寄せられた質問に高橋社長、KDDIコンシューマ事業本部の長谷川渡氏、KDDIライフデザイン本部の繁田光平氏が回答しました。

楽天が9月上旬に料金プランの詳細を発表するといわれているなか、なぜこのタイミングで新料金プランを発表したのか、という質問に高橋社長は「5G時代への意気込みを示すために、まず他社に先駆けてau UNLIMITED WORLDの世界観を示したかった。そこでUNLIMITEDにNetflixが視聴できるプランを、アグレッシブな料金設定で発表しました。そのあとで、楽天さんが料金プランを発表されることになった。我々として、対抗しなければならないと判断したときは、対抗料金をしっかり出していきます」と回答しました。

テザリング・データシェア・世界データ定額を利用した場合の上限を2GB / 月と定めたことについて、高橋社長は「スマートフォンでサービスを利用することにこだわっています。金融もスマートフォン向けにシフトしました。一方で、テザリングはすごく便利な機能ですが、利用動向からすると全体の2割程度のユーザーさんしか使っていない。全体のバランスを鑑みて、今回はスマートフォンでお使いいただけるUNLIMITEDな新料金プランとして発表しました」と回答。

長谷川氏は「世界データ定額も、この2GBからお使いいただく設計です。世界データ定額を使っていただいているユーザーは全体の数%と、トータルで見ると少ない割合です。今回、より多くの方に4,000円台で料金プランを提供したかったので、こうしたバランスになりました」としました。

10月よりMNO事業に参入する楽天については、基地局建設の遅れが指摘されています。当初の予想よりスモールスタートになりそうな件についてコメントを求められると、高橋社長は「競争は良いことだと思っています。新しい人たちが新しい技術で新しいビジネスモデルで入ってこられることが刺激になる。KDDIは、デジタルトランスフォーメーションを起こす会社。彼らのことを警戒することで、新しいアイデアも出てきます。

楽天さんは今、本当に努力して拡張しておられることと思います。楽天さんがよくおっしゃられているネットワークの仮想化は、我々も頑張っているところ。ただ、基地局の数はそうしたものでは測れません。我々は全国に何十万カ所と基地局を作ってきた。これをピカピカにすることが新規参入者との大きな差別化になる、と社内でも檄を飛ばしております。せっかく新しい事業者が参入するので、自分たちも気を引き締めていきたいと思っています」。

KDDIでは総務省の要請に応えるため、新料金プラン「auデータMAXプラン Netflixパック」を「2年契約N」の対象プランとしました。2年契約Nでは、2年以内に契約を解除した場合の違約金を1,000円とし、2年契約による割引きを170円としています。ユーザーが解約しやすいプランを提供することに不安はないのか、と問われると高橋社長は「契約を解除しやすい反面、他のキャリアさんからKDDIにも来やすくなる。その両面があるんですね。これから楽天さんも入ってこられるので、ユーザーを確保していかないといけない。IDの数も大事ですが、エンゲージメントも大事だと言い続けてきた。そういった意味では、Netflixさんとのプランでエンゲージメントを上げている」と説明しました。