「半導体メモリー」なき東芝のメリット
2019年3月期の東芝の営業利益は前期比9・3%増の700億円を見込む。前提となる為替レートを1ドル=100円と保守的に設定した影響を除くと「(実態は)1000億円規模」(車谷暢昭会長兼最高経営責任者)だとしても、日立製作所と総合電機の双璧だったころの姿はない。
車谷会長が各事業部長と膝詰めで、ゼロベースの中期戦略をつくる。年内に構造改革案を公表する方針だ。
車谷会長も「早いのは一般経費の削減」と説明するように、収益基盤の固め直しが当面の課題になる。固定費をどこまで引き下げられるかが焦点になる。
メモリー事業売却による経営戦略上の利点もある。投資から回収までの期間が大きく異なるメモリー事業とインフラ事業の二つを抱える経営の難しさから解消される。研究開発費を拡散せずに投じる体制が整ったともいえる。
車谷会長は外部出身者である利点を「しがらみなく、話し合える点」と語る。先頭に立ち、有言実行で過去の東芝の姿と決別できるのか。「メモリーなき東芝」が浮上する条件だ。
(文=栗下直也)
