最も権威ある環境評価で「Aリスト」に選出された日本の13社
気候変動対策の評価で2年連続で最優秀の「Aリスト」に選出された三菱電機の柵山正樹社長は、報告会で「事業を通して持続可能な社会に貢献する」と喜びを語った。富士通の谷口典彦副社長も「ICTで気候変動の緩和に貢献したい」と決意を表明。最優秀の”常連”ソニーの今村昌志執行役は「何かへの貢献なくして技術開発はない。ソニーは問題解決に創造と挑戦に取り組む」と語った。
CDPは英国の環境NGO。企業の気候変動対策を比較できる情報を集めようと00年、前身のカーボン・ディスクロージャー・プロジェクトが設立。投資家の要請を受ける形で企業に質問状を送り、回答を評価、公表する活動を始めた。17年は世界5000社以上に質問状を送付した。
企業に回答義務はないが、欧州8割、米国6割が回答する。企業の背中を押しているのが投資家だ。欧米の803の投資機関がCDPを支持し、その運用資産の総額は100兆ドル(1京円)に上る。
日本では大企業500社に質問状を送付している。16年は53%が回答し、初めて半数を超えた。CDP日本事務局の森澤充世ディレクターは「報告会に社長が来るようになってから、注目度が高まった」と振り返る。14年は日産自動車、ホンダ、東芝、住友林業の4社が日本企業で初めて100点満点を獲得。報告会に各社トップが駆けつけた。
企業の環境担当者には「質問状を送りつけ、無回答なら最低評価と一方的に公開する」と批判もあったが、CDPを無視できなくなった。15年は日本の満点が25社に増加。点数の公表がなくなり、A-Dの段階評価だけとなった16年、日本22社がAリストに輝き、18社の役員が報告会に登壇した。
森澤ディレクターは「Aは特別扱い」と言い切る。報告会に招かれるのも、報道されるのもAリストだけ。ただし「一喜一憂してほしくない」と語る。
日本のAリスト企業でも、再生可能エネルギーの導入量では海外企業から引き離されている。「世界は前を走っている。追いつくためにスピードアップが必要」と訴える。
またCDPが「投資家との対話ツールになる」と期待する。成長力を備えた企業を選ぶESG(環境・社会・企業投資)投資が広がっている。CDPは世界同一基準なので、投資家は企業を比べやすく、企業もPRしやすい。
「国内は過熱気味」。NTTデータ経営研究所の大塚俊和シニアマネジャーは、CDPの盛り上がりをこう表現する。気候変動が専門の大塚氏は、延べ100社にCDPの回答をコンサルティングしてきた。
この経験から「競争原理が働いている。1社が高評価を獲得すると競合企業の上層部が気にし、環境担当者が追随する」と過熱の構図を解説する。回答の動機が”横並び意識”としたら、投資家に気候変動への取り組みを伝える本来のCDPの趣旨と乖離している。
「CDP」から「ESG」へ
だが、状況が変わりつつある。ESG投資が台頭し「CDPに回答しないと投資家から評価されないと気づき始めた企業が少なくない」(大塚氏)という。
CDPの質問も変化している。以前はCO2排出量の計測値など、情報開示の姿勢を問う内容が多かった。設問を理解して回答すれば得点を稼げ、高得点が可能だった。
