全国で新しく設立された法人(新設法人)数の年次推移を示すグラフ(東京商工リサーチの発表資料より)

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 2015年の1年間に全国で新しく設立された法人(新設法人)は前年比4.5%増の12万4,996社で6年連続の増加だったが、増減率は13年の5.7%、14年の8.6%と比べると第2次安倍内閣になってから最も低かったことが東京商工リサーチの調べで分かった。

 業種別で目立ったのは、昨年の訪日外国人観光客数(約1974万人)が過去最高に達したこともあって「宿泊業」で、前年比58.6%増の601社だった。一方、新設の減少が目立ったのは、太陽光発電などを含む「電気・ガス・熱供給・水道業」で、前年比33.3%減の2,203社。再生エネルギー発電関連の設立ラッシュが一段落した様相を示した。

 その他の業種別では、各種商品卸が78.1%増、各種商品小売が39.8%増となり、流通関連が高い増加率をみせた。さらに、製造業でもパルプ・紙・紙加工品製造が17.6%増、プラスチック製品製造が11.4%増など高い伸びを示した。同リサーチでは「景気の先行き期待の大きさをうかがわせた」としている。

 

 地域別にみると、33都道府県で前年を上回った。増加率トップは、15.2%増の沖縄県と栃木県だった。富山県、徳島県、福井県、埼玉県が続いた。一方、前年より減少した中には東北の4県も含まれ、復興需要の一巡を浮き彫りにした。

 同リサーチでは「増加率は第2次安倍内閣発足後の2013年以降では最も低率で、決して手放しで楽観はできない。新設法人を今後いか育成していくかも重要な課題であり、スピード感ある政策と実効ある地方振興策としての「ローカルアベノミクス」の真価が問われる」と分析している。