体内をこいつがニョロニョロ動く? 血液中を泳いで薬を運ぶ「ナノロボット」
1966年の米サイエンスフィクション映画『ミクロの決死圏』という映画が当時世界的に大きな話題を呼び、日本でも上映された。
研究者達が物体を縮小する技術を開発、探査機で患者の体内に入り、脳にできた血栓を破壊して体外へ生還するというストーリーだったが、まさにこの映画を回想させる技術が実現しつつある。
血液中を泳ぐロボット
化学分野の研究支援団体、『ACS(アメリカ化学会)』によると、患者の体内に治療用の薬物を運ぶナノロボットの研究が進んでいるという。
『ナノスイマー』と称するこのロボットは患者の血液などの体液中を泳ぐように進むことができる。
投薬では必ずしも患部に全ての薬が行き渡るわけではないが、このロボットを使えば患部に直接薬を運ぶことが可能になるという訳だ。
泳がせ方にワザ
この『ナノスイマー』の開発で課題となったのは体液内を如何に上手に“泳がせる”かだったという。
スイス連邦工科大学チューリヒ校 (ETHZ/EPFZ )で『ロボット工学・インテリジェントシステム』を担当するブラッドレー・ネルソン教授らは振動磁場を印加したときに『ナノスイマー』が約1体長/秒の速度でS状に波状運動しながら移動するように工夫した。
『ナノスイマー』はポリマーと磁気を帯びた金属製のナノワイヤで構成されており、磁場を振動させることで、患部を目指して“泳ぐ”。
切開手術を最小限に
その利点は多大で、例えば癌細胞に効く薬品を直接患部に送り込むことで、切開手術の必要性を最小限に留めるなど、より早い回復をもたらす効果が期待できる。
この研究は同大学において2009年辺りから急速に進展をみせているそうで、いずれは外部から『ナノスイマー』の磁場誘導により患部に直接投薬、癌細胞などを破壊することが可能になる日が来るかもしれない。
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【参考・画像】
※ アメリカ化学会「ACS(American Chemical Society)」
※ ACSニュース
※ ETHZ