現在、春闘の真っ最中であるが、現下の厳しい経済状況を受けて、ベアはゼロ回答なところが多いようである。公務員の労働組合ももちろん春闘はやるのだが、雇用確保・首切り反対という重い課題とは無縁な身分保障のある公務員の春闘要求は、大変浮世離れしている。



親方日の丸な人々は、国家公務員法等で争議行為を禁じられているが、団結権や団体交渉権は原則として制限されない。しかも自分たちの給料水準が政治の場で決まるものであるため、そもそも何のために春闘要求を出しているのかよくわからないのである。

某労組では、つい最近まで「狂乱物価を抑えること」という要求項目を掲げていた。なんのことかと思いきや、これが1973年の第1次オイルショックの時の物価上昇のことを言っているのだ。30年以上前に出した要求項目を全く見直しせずに毎年要求していたのである。

もちろん、一般論として物価は安いに超したことはないが、それは適正な給料水準が維持されていることが前提である。ところがどんなに経済状況が変わっても、賃上げ要求は変わらないのであるから、一貫性のないことはなはだしい。

そのほか、要求項目は実に詳細多岐にわたる。休暇の拡充やレクリエーションの充実、単身赴任反対や残業予算の確保など、公務員バッシング吹き荒れる世間の目などどこ吹く風なのだ。

中でも笑えるのが、残業反対と残業代増額をセットにして要求していることである。いったい残業したいのかしたくないのかと常識ある人なら思うだろうが、これにはからくりがある。

公務員たちの意識は「残業代は生活費である」ということなのだ。大昔に"カラ残業"が問題となったのは、残業実績に関わらず人頭割で手当を支給していたからである。

近年はさすがに残業実績に基づいて支給されるが、「生活費の一部」という意識は変わっていないため、定時を過ぎてもダラダラと仕事をしている職員がいる。

なにより、公務員にとっての春闘というのは「お祭り」なのである。切実な生活実態とはかけ離れた要求項目を山のように出しているお役所労組。せめて赤旗とかポスターは、市民の目に付かない場所に掲示してほしいものである。

(編集部 石桁寛二)

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