by NASA Goddard Space Flight Center

映画「オデッセイ」で描かれたように、いつか人類が火星に到達したときには、その過酷な環境の中で危機に陥ることもあるはず。最悪の事態として、もし火星宇宙飛行士が命を落としたらその遺体はどう扱われることになるのか、NASAの生命倫理担当顧問が2つの選択肢を示しています。

What Should Happen to the Body if an Astronaut Dies on Mars? | Popular Science

https://www.popsci.com/military-aviation-space/article/2008-02/what-should-happen-body-if-astronaut-dies-mars



ペンシルバニア大学の教授で、NASAの生命倫理の顧問でもあるポール・ルート・ウォルプ氏によれば、選択肢は「そこに残す」か「地球へ持ち帰る」かの2択。ただし、NASAとしては「地球へ持ち帰る」という選択肢を最優先するというのが、ウォルプ氏の見立てです。

理由の1つは、3年にわたって一緒にミッションをこなしてきた宇宙飛行士たちにとって、その遺体は強い絆で結ばれた仲間だから。もう1つは、遺体は遺族にとっての「財産」であり、返還を求める権利があるからです。

一方で、死因によっては「残す」ことが選ばれる可能性も十分にあります。たとえば、亡くなる原因が「峡谷に落ちた」だった場合、遺体の回収を試みることで、他の宇宙飛行士の命が危険に晒される恐れがあるためです。

また、何らかの原因で宇宙服が破損して亡くなった場合も遺体は残されると考えられます。これは、人類や地球に致命的な影響を与えるなんらかの存在が遺体に付着している恐れがあるからです。そのような危険をもたらす病原菌や有機体の存在は確認されていませんが、存在しないこともまた確認されていません。

しかし、遺体を残すことで火星になんらかの影響を与えてしまうという可能性もある、とウォルプ氏は懸念しています。今のところ、まだ人類は火星に足をつけるには至っておらず、ここで想定されるような事例は起きていません。



by Kevin Gill