意外! やりがちだけど、海外ではマナー違反になる「子どものクセ&行動」5つ

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子どもたちが大きくなる頃には、社会のグローバル化がますます進んでいることが予想されます。海外の人と交流する機会は、ママの世代よりずっと多くなることでしょう。

子どもに教えたい! 将来絶対役に立つ「コミュニケーション術」5つ

しかし、日本と海外では、文化やコミュニケーションの仕方に大きな違いがあります。将来、子どもが海外に出たときや海外の人と会った際、何気なくとった動作や行動が、「マナー違反」「行儀が悪い」と思われることもあるかもしれません。

そこで今回は、マナースクール「トリプルウィン」でグローバルキッズマナー講座を担当しているマナー講師の代田眞知子さんと、同じくマナー講師で、トリプルウィン代表取締役の森裕美さんにインタビュー。

日本の子どもによく見られるクセや行動のうち、海外ではマナー違反と受け取られやすいものを5つ、教えていただきました。

1.鼻水をすする

代田さん(以下、代田)「日本の子どもはよく鼻水をすすりますが、海外、特に欧米ではタブー。彼らにとって、何かをすする音は、日本人が思う以上に不快な音なのだそうです。

ただし、くしゃみや鼻をかむ音など、鼻水を出す音はマナー違反ではありません。誰かがくしゃみをしたときには、『Bless you!』と明るく声をかけ合うほど。子どもには普段から、鼻水が出ても、できる限りすすらず、早めに鼻をかむ習慣をつけさせるといいでしょう」

2.お味噌汁でごはんを流し込む

森さん(以下、森)「日本人は、食事の場面で、おかずが口の中に入ったままごはんを頬張ったり、お味噌汁でごはんを流し込むように食べたりすることがありますよね。

このいわゆる『口内調味』は、海外、特に欧米では行儀が悪い食べ方と見なされます。口の中で一つの料理を味わい、空にしてから、次の料理を迎えることがマナーです。

フレンチのコースでは、スープが独立したメニューとして出ますし、パンにも必ずバターや専用のソースなどがつきます。他の味と混ぜないことが前提だからです。

余ったメインディッシュのソースにつけて食べることはありますが、一般的に、パンをメインの料理と同時に口に入れることはしません。

ごはんとおかずを交互に食べるのが日本の文化ですが、家族で洋食やフレンチを食べる機会があれば、子どもにも外国との文化の違いを説明してあげるといいのではないでしょうか」

3.電車内で、ママが立っているのに子どもは座っている

代田「日本では、電車やバスのなかで、母親が、もう幼児ではない子どもを座らせて自分は立ち、子どももそれが当然というように座っている光景をよく見かけます。子どもが座席に座りたいと駄々をこねることや、座れないことに不満げな態度をとることもあります。

これらはすべて、外国人の目には異様な光景に映るようです。

というのも、海外では一般的に、電車の座席は『サポートされるべき人が座る場所』という認識で、子どもは若者であり、座るべき人ではないと考えられているからです。もちろん、安全性の面から、幼児は別ですが。

また、欧米では、レディファーストや年配者に配慮する意識を、マナーというよりも当然のエチケットとして子どもに身につけさせています。そのため、子どもが年配者、特に女性を差しおいて座るということは、あり得ないのだそうです。

子どもが電車内でもしっかり立っていられる年齢になったら、子どもを優先的に座らせるのではなく、お年寄りや赤ちゃん連れ、妊婦さんなど、座るべき人に席を譲ることをきちんと教えていきたいですね」

4. 相手の目を見ない、目をそらす

代田「話している相手の目を見る、目が合ったら笑顔を返すというのは、海外の多くの国では、コミュニケーションの基本です。

目を見ないこと、そらすことは、海外では『あなたとのコミュニケーションに興味がありません』『迷惑です』という態度であり、大変失礼な行為にあたります。

日本人もそれを頭では理解している人も多いはず。ただ、日本人の場合、目を合わそうと意識していても、自分で思っているよりもずっと、相手の目を見ていない時間が長いものなのです。これは無意識の領域ですから、子どもの頃から根付いているクセと言わざるを得ません。

海外では、お店に無言で入ってきて店員の挨拶に反応もせず、誰とも目を合わせずに商品を見ている客は、泥棒ではないかと警戒の目で見られるそうです。

子どもの頃から、店員さんにあいさつをされたら目を見てあいさつをし返すよう、習慣づけられるといいですね」

5.ノーを言うとき、返答をあいまいにする

森「日本人は、断るときに、返答をあいまいにしながら笑顔を見せることがよくあります。あえて表現や態度をあいまいにしたり、多くを語らなかったり、暗黙の了解があったりというのは、日本独特の、いわば『察する文化』。

日本では気遣いの一種ですが、海外では『発言』と『態度・表情』が一致していないと、逆に違和感や不信感を持たれる原因になり、誤解を生むことが少なくありません。グローバル社会では、相手に正しく伝わるように明確に自分を表現する姿勢が必要です」

マナーは「相手を尊重する気持ち」を伝えるもの

なお、子どもに教えるときには、マナーがなぜ大切なのかも説明できるといいかもしれません。森さんは、グローバルマナーの必要性について、次のように語ります。

森「マナーは、単に礼儀作法というだけでなく、コミュニケーションスキルの土台の部分です。昔から国同士の外交の現場では、相手に敬意を表すため、円滑に話を進めるため、そして保安のためのルールとして、マナーが存在していました。いわゆる国際儀礼、プロトコールですね。

個人の異文化コミュニケーションの場でも、相手の信頼を得るためには、プロトコールのようなルールや共通認識を用いる必要があるのです。

マナーのベースにあるのは、相手への尊重と思いやりです。『異文化の存在を理解し、受け止めて、敬意が相手にきちんと伝わるように、行動で示すこと』。それがグローバルマナーだと私は考えています」

今回ご紹介した5つのポイントは、グローバルマナーの初歩の初歩。

代田「どこまで実践するかは、年齢や周囲の環境にもよると思いますが、これからのグローバル社会を生きていく子どもたちには、ぜひ世界で通じるマナーとコミュニケーションスキルを育んでいってほしいです」

最近は、海外に行かなくても、職場のほか、幼稚園や保育園などでも、海外出身の人と出会う機会が増えています。ママ自身も、子どもといっしょにグローバルマナーを学んでいけるといいですね。

取材協力:代田眞知子

マナー講師。株式会社トリプルウィン取締役、グローバルキッズマナー/スチューデントマナー講座を担当。

日本航空株式会社30年勤務。ママさんCAのパイオニアとして乗務時間23000時間達成。国際線シニアスーパーバイザー。主に国際線ファーストクラス担当、人材育成にも携わる。早期退職後、青山セラピストスクールの副学長を経てマナースクール講師に。

取材協力:森 裕美

マナー講師。株式会社トリプルウィン代表取締役。日本航空株式会社にて30年以上にわたり、国際線客室責任者、客室マネジャー(管理職)として勤務。早期退職後、企業向け接遇・コミュニケーション研修、リーダーシップ研修、アンガーマネジメント研修、業績アップに繋がるマナー研修の他、グローバルマナースクール(東京八重洲、駒沢大学、横浜)を主宰。