「かわいい!」のその先へ。アイドルの浴衣着付けに込めた、着物文化と着付け師を未来へつなぐ想い
「夢をつなぐバトン」をテーマにしたイベントで
2026年6月21日、神戸ハーバーランドumieで開催された、元プロ野球選手・鳥谷敬さんのトークショーイベント。
「夢をつなぐバトン」をテーマに、トークショーやミニライブなどが行われたこのイベントで、オープニングを飾ったアイドルグループ「SILKY FLOWER」( https://www.instagram.com/p/DaJnMV0k1oq/?utm_source=ig_web_copy_link&igsh=MzRlODBiNWFlZA== )
華やかなステージの裏側には、私たちが大切にしている「日本文化を未来へつなぐ」という想いが詰まっていました。
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6/27に開催されたイベントチラシ
メンバーカラーを浴衣で表現するという挑戦
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(浴衣に着替える前のSILKY FLOWERのみなさん)
今回のご依頼で最も時間を要したのは、それぞれのメンバーの担当カラーを浴衣姿に取り入れることでした。
浴衣の帯は落ち着いた色味が多く、担当カラーにぴったり合うものを揃えることは簡単ではありませんでした。
特に赤色の帯は何軒ものお店を巡り、ようやく理想の一本に出会うことができました。
赤色であれば何でもいいわけではありません。
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(「きつくない?大丈夫?」と優しく声をかけながら一人一人を着付けている様子)
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(浴衣着付け中、自然と笑顔に)
色味や質感、生地の風合いまでこだわり、「この子にはこの帯が一番似合う」と思えるものを選びました。
さらに、ヘアアクセサリーも担当カラーに合わせ、一つひとつオリジナルで制作。
伝統工芸である水引を使った一点ものです。
(「折り鶴」マネージャー下田によって、メンバーそれぞれに合ったヘアセットをしている様子)
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(水引の髪飾りは折り鶴スタッフによる手作りオリジナル)
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(メンバーカラーに合わせた手作りの水引の髪飾り)
年齢ではなく、一人ひとりの魅力を大切に
今回着付けを担当したのは、10代のメンバーで構成されたアイドルグループです。
一般的に10代向けの浴衣には白地のものが多くありますが、今回はグループとしての統一感を大切にし、藍染めの紺色の浴衣を選びました。
帯結びも全員同じではありません。
一人ひとりの雰囲気や個性に合わせ、プロの着付け師が結び方を変えています。
ヘアスタイルも含め、それぞれが最も輝ける装いを目指しました。
着付けとヘアセットが完成した瞬間、会場から聞こえてきた「かわいい!」という声。
その笑顔を見て、スタッフみんな自然と笑顔になりました。
浴衣には、人の所作まで変える力がある
私たちが特に印象に残っている場面があります。
浴衣をまとい、スニーカーから下駄へ履き替えた瞬間です。
自然と背筋が伸び、歩き方や立ち居振る舞いまで変わっていく姿に、日本の装いが持つ力を改めて感じました。
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(浴衣をまとい、個性に合わせたヘアスタイルのSILKY FLOWERのみなさん)
浴衣や着物は、ただの衣装ではありません。
袖を通すことで所作や気持ちまで自然と変わり、日本の四季や文化を感じることができる特別な装いです。
今回の経験が、メンバーの皆さんにとって着物文化に親しむきっかけとなり、「また着たい」と思っていただける一日になっていたら嬉しく思います。
私たちが何より嬉しかったこと
今回のご依頼で、私たちが最も嬉しかったことがあります。
それは、SILKY FLOWERのプロデュース「株式会社花実かざり」( www.kamikazari.info )
様が、私たちの活動の趣旨や想いに共感し、その上で「折り鶴」を選んでくださったことです。
イベント当日には司会の方が、「折り鶴」の紹介だけでなく、藍染め浴衣の魅力や日本文化としての価値、有馬温泉の歴史まで丁寧に紹介してくださいました。
藍染めには防虫・防菌性があること
水引の髪飾りが伝統工芸であること
そして、日本三古泉の一つである有馬温泉の魅力。
浴衣姿を披露する時間を通して、日本文化そのものを来場者の皆さまへ届けてくださいました。
私たちの想いを一緒に伝えてくださったことは、何より嬉しい出来事でした。
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(浴衣姿をお披露目中)
「折り鶴」が未来へつなぎたいもの
私たちが守りたいのは、着物だけではありません。
着物文化
有馬温泉という歴史ある町の魅力
そして、
着付け師という仕事です。
現在、着付け師だけで生計を立てることは決して簡単ではありません。
「折り鶴」で活躍する着付け師たちも、ダブルワーク、トリプルワークをしながら技術を磨き続けてきた人ばかりです。
それでも続けてこられた理由は、ただ一つ。
着物が好きだから。
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(大人サイズの浴衣を子どもの体にそわせ、身幅を微調整しながら着付ける高度な技術)
「長年積み重ねてきた着付け師たちの手はとても美しい。まるで一枚の折り紙を折るように、一枚の布を立体的な美しさへと仕上げていく。」
と着物レンタルギャラリー「折り鶴」の総合プロデューサー佐溝(さみぞ)は言います。
その所作もまた、日本の伝統文化の一つだと私たちは考えています。
着物は、着付け師がいて初めて、その美しさを最大限に引き出すことができる装いです。
だからこそ、「折り鶴」は着付け師たちが活躍し、技術を次の世代へ受け継いでいく場でもありたいと考えています。
また、浴衣や訪問着、振袖だけでなく、婚礼和装の着付けまで対応できる経験豊富な着付け師が揃っていることも、私たちの大きな強みです。
人生の節目となる特別な一日を、本物の技術でお手伝いしています。
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(髪型も帯の結び方も個性豊かに)
一枚の着物から始まる、新しい出会い
「折り鶴」は、この春にスタートしたばかりの新しい挑戦です。
だからこそ、お客様の「こんなことができるかな?」という一つひとつのご相談に、全力で向き合っています。
有馬温泉を訪れる理由は、人それぞれです。
温泉を楽しみたい方。
大切な人との思い出を残したい方。
日本文化を体験したい海外からのお客様。
その一日に、本物の着物をまとい、着付け師の技術に触れることで、旅の思い出がより特別なものになる。
私たちは、そんな体験を届けたいと考えています。
浴衣レンタルや着付けはもちろん、訪問着・振袖・婚礼和装の着付け、前撮り、各種イベントへの出張着付けまで幅広く対応しています。
お客様一人ひとりに寄り添いながら、「着物を着てよかった」と心から思っていただける時間をお届けしてまいります。
着物がつないでいく未来
着物は、ただ身にまとうものではありません。
人を笑顔にし、地域を元気にし、人と人をつなぎ、日本の文化を未来へ受け継いでいくものだと、私たちは信じています。
一枚の着物には、職人の技術があり、着付け師の想いがあり、地域の歴史があります。
「折り鶴」は、その一枚に込められた想いを、これからも一人でも多くの方へ届けてまいります。
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(SILKY FLOWERの皆さんと、今回着付け・ヘアセットを担当した折り鶴スタッフ。左から下田マネージャー、熟練着付け師の中村、ヘアアーティストの北村、代表の佐溝)
【編集後記】
今回お伝えしたかったのは、「こんなに苦労しました」という話ではありません。
帯を探して何軒もお店を巡ったことも、水引の髪飾りを一つひとつ制作したことも、そのすべては「どうすればもっと喜んでもらえるだろう」と考えた結果の、ごく自然なことでした。
そして、私が何より心に残っているのは、イベントが始まり、SILKY FLOWERの皆さんを無事にステージへ送り出した後のことです。
ヘアセットや着付けを担当したスタッフの口から自然とこぼれ出た言葉・・・
「あ~、楽しかった。」
その一言を聞いたとき、「折り鶴らしさ」はここにあるのだと感じました。
誰かを笑顔にするために準備を重ね、その時間さえも楽しめる仲間がいること。
それが、“好き”を仕事にして貫いてきた「折り鶴」スタッフの一番の強みなのかもしれません。
着物レンタルギャラリー「折り鶴」は、有馬温泉にてこの春にスタートしたばかりでまだまだ挑戦中です。
試行錯誤の連続ですが、有馬温泉で活動されている皆さま、地域の皆さま、そして有馬温泉の外で活躍されている多くの方々ともつながりながら、一緒に新しい可能性を模索していけたらと思っています。
着物を通して、人と人がつながる。
その「つながり」が、次の誰かへとバトンのように受け継がれていける、そんな取り組みにこれからも挑戦してまいります。
取材・文:柴田祐未子(合同会社あおいそら|バードトレーナー・バードシッター)