毎年、甚大な被害をもたらす台風。地震と違い「いつ、どれくらいの規模で来るか」を事前に予測できるのが台風の特徴ですが、いざという時の備えは万全でしょうか?
今回は、地盤防災コンサルタントの横山さんをお迎えし、さくら事務所取締役の田村啓さんとともに、台風が来る前に絶対に確認しておくべき「ハザードマップの正しい見方」と「4つの水害リスク」について解説します。
■ 1. 避難の必要性を見極める「ハザードマップ」の基本
台風の接近が分かったとき、まず最初に行うべきは「我が家が避難する必要がある場所かどうか」を見極めることです。
むやみに避難所へ行くことが常に正解とは限りません。マンションの高層階など、水害や土砂崩れのリスクがない場所に住んでいる場合は、自宅にとどまる「在宅避難」が最も安全なケースもあります。
【確認すべきポイント】
・浸水の深さと家の構造:ハザードマップで浸水深が「3m~5m」と想定されている地域で、ご自宅が1階建て(平屋)の場合、屋根まで水没する危険があるため「水平避難(別の安全な場所へ逃げる)」が必要です。一方、2階建て以上のマンションなどで、浸水想定以上の高さに居住スペースがある場合は「垂直避難(上の階へ逃げる)」で対応できる可能性があります。
・最新の情報を見る:ハザードマップは年々更新されており、「去年は安全だったのに、今年は危険エリア(色が塗られている)になっていた」というケースも多々あります。毎年、梅雨前やゴールデンウィークの時期に、最新の「想定最大雨量」のマップを確認する習慣をつけましょう。

■ 2. 知っておくべき「4つの災害リスク」
水害や土砂災害には、大きく分けて4つの種類があります。川の近くや山のふもとだけでなく、一見安全に見える都市部にも危険が潜んでいます。
洪水(外水氾濫)
川の堤防が決壊したり、水があふれ出たりする災害です。 注意すべきは、単に水に浸かるだけでなく、「家屋倒壊等氾濫想定区域」に指定されている場所です。この区域では、川から濁流が押し寄せ、木造住宅を押し流したり、時には鉄筋コンクリート(RC)造の建物の地盤ごと削り取ってしまうような激しい氾濫流が発生する危険性があります。浸水の深さが浅くても、この区域に該当する場合は早急に逃げる必要があります。
② 土砂災害(崖崩れなど)
主に「土石流」「地すべり」「崖崩れ」の3種類があり、都市部で特に注意すべきなのが「崖崩れ」です。 神奈川県や東京都の多摩地域など、高低差がある住宅街では、日常的に見慣れている擁壁や斜面が、大雨によって突然崩落する事故が毎年起きています。ハザードマップで黄色(警戒区域)や赤(特別警戒区域)に塗られている場所はもちろん、色の境界ギリギリの場所や、ハザードマップに指定されていなくても「小さな崖」がある場所は要注意です。
③ 高潮
海面の水位が異常に上昇し、陸地に押し寄せる災害です。 「海沿いの街だけの問題」と思われがちですが、東京都の目黒区や新宿区、東京駅周辺といった海に面していない内陸の都市部でも、川をさかのぼった高潮による浸水が想定されている地域があります。台風の「波がザパーンと来る」というイメージではなく、海面自体が持ち上がり、濁流となって一気に街に流れ込んでくるため、洪水と同等の警戒が必要です。
④ 内水氾濫(都市型水害
いま最も警戒すべき、発生頻度が高い水害が「内水氾濫」です。 川が氾濫したわけではなく、「降った雨が下水道などの排水能力を超えてあふれ出す」現象です。 高台に住んでいても、周囲より少しだけ土地が低いくぼ地になっていたり、排水溝にゴミが詰まっていたりすると、一気に雨水が集まってマンホールが吹き飛び、車が冠水するような事態に陥ります。「川が近くにないから」「高台だから」と油断せず、雨の日に家の前の水はけを確認しておくことが重要です。

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