久しぶりに会った友人は、転職して年収「1000万円」になったそうです! それでも「思ったほど生活は楽じゃない」と言いますが、平均年収の“2倍以上”でも、家計が苦しくなることはあるのでしょうか?

写真拡大 (全2枚)

「年収1000万円」と聞くと、ゆとりのある暮らしを思い浮かべる方も多いでしょう。しかし、実際には「思ったほど生活に余裕がない」と感じている人も少なくありません。   高収入になるほど税負担が重くなるほか、支出が増えやすい点にも注意が必要です。この記事では、年収1000万円という高収入でも、生活にゆとりを感じにくい理由についてまとめています。

日本の平均年収はどれくらい?

国税庁長官官房企画課が公表している「令和6年分 民間給与実態統計調査-調査結果報告-」によると、日本国内の給与所得者の平均給与は478万円となっています。男女別に見ると男性の平均給与は587万円、女性は333万円です。
また、雇用の形態別では正社員の平均給与が545万円であるのに対し、正社員以外は206万円という結果が出ています。
これらの数字と比較すると、年収1000万円という金額は全体の平均給与である478万円の2倍以上にあたることが分かります。これほどの高収入を得ていると聞くと、お金の心配なく余裕のある暮らしができると考える方もいるでしょう。
一方で、友人が「思ったほど生活は楽ではない」と感じる背景には、収入と実際の家計負担との間にあるギャップが関係していると考えられます。

世帯年収1000万円以上の家庭は全体のおよそ1割! 額面と手取りに潜む大きなギャップ

厚生労働省が公表している「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」によると、世帯年収が1000万円を超えている家庭は、全体の約14%とされています。年収1000万円は、日本全体で見ても高い水準の所得です。それにもかかわらず、生活にゆとりを感じにくいのはなぜなのでしょうか。
その原因のひとつとして挙げられるのが、「額面」と「手取り」の間に存在する大きなギャップです。年収1000万円というのは税金や社会保険料が差し引かれる前の総支給額を指しています。
実際に口座に振り込まれる「手取り額」は、ここから所得税や住民税、社会保険料などが差し引かれるため、一般的には額面の約7割から8割程度、金額にするとおよそ700万円から800万円前後にまで減少してしまうのです。
年収が上がるにつれて所得税の負担も大きくなる累進課税制度のもとでは、額面の年収が増えても、自由に使える手取り額が同じ割合で増えるわけではありません。こうした仕組みも、家計に影響を与える要因のひとつといえるでしょう。

年収1000万円でも貯蓄が増えにくい? 住宅ローンや生活水準が家計に与える影響

手取り額だけでなく、高収入世帯ならではの支出の増えやすさにも注意が必要です。年収1000万円という安心感から、知らず知らずのうちに生活水準が上がってしまうケースも考えられます。
例えば、「これだけの年収があるのだから」と住宅にかける予算を増やし、高額な住宅ローンを組んだ結果、毎月の返済が家計の負担となるケースも見られます。また、子どもの教育費に関しても、私立学校への進学や習い事に多くの費用をかけることで、毎月の固定費が大きくなることがあります。
さらに、日用品の買い物や外食の頻度など、日々の支出が少しずつ増えていくことも考えられます。一度上がった生活水準は見直しにくく、結果として収入が増えても思うように貯蓄が進まないケースも少なくありません。
周囲からは余裕のある生活に見えても、実際には毎月の支出が多く、家計にゆとりを感じにくい家庭もあるでしょう。

まとめ

今回のケースのように、年収1000万円という高い収入を得ていても、「思ったほど生活は楽ではない」と感じるのは決して珍しいことではありません。収入が増える一方で、税負担が大きくなることに加え、住宅費や教育費などの支出も増えやすくなるためです。
そのため、年収の高さだけで家計のゆとりを判断するのではなく、収入と支出のバランスを見直し、無理のない家計管理を続けることが大切です。
今回の友人のケースからも分かるように、家計の安定は年収だけで決まるものではありません。現在の収支を把握し、自分たちに合ったライフプランを考えながら計画的にお金を管理していくことが、将来に向けた安心につながるでしょう。
 

出典

国税庁長官官房企画課 令和6年分 民間給与実態統計調査-調査結果報告- II 1年を通じて勤務した給与所得者 2 平均給与(15ページ)
厚生労働省 2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況 II 各種世帯の所得等の状況 2 所得の分布状況 図9 所得金額階級別世帯数の相対度数分布(10ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー