「勃起不全(ED)」は深刻な心血管疾患や2型糖尿病の兆候かもしれないと専門家が警告

勃起不全(ED)は性行為のために十分な勃起が得られない障害であり、特に年齢を重ねた男性によく発生します。そんな勃起不全が深刻な心血管疾患や2型糖尿病の兆候の可能性があると、専門家らが警告しています。
Erectile Dysfunction and Your Health: 5 Things You Need to Know | Johns Hopkins Medicine
https://www.hopkinsmedicine.org/health/wellness-and-prevention/erectile-dysfunction-and-your-health-5-things-you-need-to-know
https://www.sciencealert.com/erectile-dysfunction-may-be-an-early-sign-of-disease-experts-warn
勃起不全はさまざまな原因で発生する障害で、若者でもみられますが加齢に伴って割合は増加し、40〜70歳の男性では30%以上が勃起することや勃起の維持に問題を抱えています。しかし、勃起は性生活と密接に関わるため、勃起不全について医師に相談するのにためらいを覚える人も多いとのこと。2022年の調査では、半数以上の人々が勃起不全になっても医療措置を受けることを控えると回答しました。
しかし、ジョンズ・ホプキンス大学医学部の心臓病学および疫学教授であるマイケル・ブラハ氏は、「多くの男性は勃起不全を心理的な問題だと考えていますが、研究によると勃起不全の最も一般的な原因は血管系の問題であることが示唆されています」と述べ、勃起不全は心血管疾患などの兆候の場合があると警告しています。

たとえば7件の研究結果をメタアナリシスした2010年の研究では、勃起不全である人はそうでない人と比較して、心血管疾患のリスクが1.4倍高いことが示されました。ブラハ氏も、冠動脈疾患は、勃起不全の男性によくみられると指摘しています。
冠動脈は心臓に栄養や酸素を供給する血管であり、ここにプラークが蓄積して心臓への血流が減少すると冠動脈疾患が発生します。健康な血流が必要なのは勃起も同じであり、冠動脈疾患の初期段階であり血管が適切に拡張できなくなる血管内皮機能障害も、多くのケースで陰茎の血管に影響を影響を及ぼすとのこと。
実際、勃起不全の治療薬として知られるバイアグラ(シルデナフィル)は、もともと冠動脈の異常で発生する狭心症の治療薬として開発されたものです。科学系メディアのScienceAlertは、「心臓病と勃起不全は、おそらく共通の起源を持っているのでしょう。結局のところ、どちらの臓器の機能も体の血管系に大きく依存しているのです」と述べています。
また、勃起不全は2型糖尿病とも関連しているとみられており、糖尿病の男性では50%以上が勃起不全であると推定されています。勃起不全と2型糖尿病では酸化ストレス・炎症・自律神経障害・ホルモンレベルの低下といったメカニズムが共通しており、勃起不全は血糖値の調節に関わるインスリンの効果が弱まるインスリン抵抗性の、有用な初期兆候になる可能性があるそうです。
さらに2025年の研究では、過敏性腸症候群の男性は勃起不全を発症する可能性が2倍以上高いことが明らかになりました。この研究結果については、腸内環境の悪化によるホルモン分泌の変化や、慢性炎症が血管系に問題を引き起こしているといった理由があると考えられています。

一方で2023年の研究では、勃起不全があって心血管疾患の既知のリスク因子を持つ男性がバイアグラのような薬を服用したところ、「全死因死亡率が25%減少」「心血管疾患による死亡率が39%減少」「心不全発生率が17%減少」「血行再建術実施率が15%減少」といった健康上のメリットが得られたと報告されました。
勃起不全は患者が恥ずかしいと思うものであるため、多くの男性は医師にさえ相談しません。一方、勃起不全で医師の診察を受ける男性は寝室での悩みにばかり気を取られ、息切れや胸痛といった心臓病の症状を医師に伝え忘れてしまう場合があるとのこと。
アメリカ・ミネソタ州の総合病院であるメイヨークリニックの泌尿器科医トビアス・コーラー氏は、勃起不全は単なる生活の質の問題ではなく、心血管疾患の危険信号であると臨床医向けガイドラインで主張しました。コーラー氏は、すべての医療従事者に対し、患者に「勃起に何か問題がありますか?」と尋ねることを推奨しています。
