東京・新宿区のルーテル市ヶ谷ホールで「鬼無里まり」名義で単独公演を行った志穂美悦子さん

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 「鬼無里(きなさ)まり」名義でシャンソン歌手として活動する、元女優で花創作家の志穂美悦子さんが3日、東京・ルーテル市ヶ谷ホールでソロライブ「ChansoniX2―deux―」を行った。

 約2時間、情感たっぷりに22曲を歌い上げた。25年5月以来2度目のソロライブだったが、「フランス語で歌えるようになりたい」と、昨年12月から講師3人の指導を受けてフランス語を猛特訓。その成果を生かして、「水に流して」「愛の讃歌(さんか)」などを披露した。前半ラストはフラメンコ風ルンバ「エル・ポロンポンペロ」。俳優・真田広之(65)、女優・手塚理美(65)元夫妻の次男で俳優の手塚日南人(31)ら、古巣のジャパンアクションクラブ(JAC)出身の16人のダンサーを従え、華麗に舞った。

 2023年秋に親交の深い音楽評論家・湯川れい子氏(90)に背中を押され、シャンソンの世界に飛び込んだ。20代前半から日本初のシャンソン喫茶「銀巴里」(東京・銀座)に足しげく通うほどのシャンソン好きだった。「趣味の延長じゃない。覚悟を持って臨む」と決め、24年6月に正式デビュー。同年11月の日本シャンソンコンクールで準グランプリにあたる優秀賞を受賞。25年3月の東日本JCCプラチナコンクールでは歌唱賞に輝いている。

 「フランス語の歌には『生』と『死』があって、それに惹(ひ)かれていると気付いたの。(戦渦の)歴史から生まれた歌だから、歌詞の中に『生』と『死』がうごめいていて、生きる力を感じている。それが今の私を駆り立てているの」

 シンガー・ソングライターの夫・長渕剛(69)には「私も、ここまで歌うと思わなかったの。家庭を顧みてないですからね。妻業も置いてますから。それだけ(自由に)させてもらっているわけですから、私もそれなりのものにならなければいけないのかなと思っています。ありがたいですよ」と感謝の言葉が尽きない。「ステージの袖から、彼の歌に対する真摯(しんし)な姿を(そばで)見てきたのは大きいですね。褒める人じゃありませんけど、いつか聴いてもらう時が来たら頑張った成果を出したいです」と誓った。

 この先も「生きることの強さを伝えていきたい」と志穂美さん。「“誰かさん”も言っちゃっているけど(笑い)。似ちゃったかもしれないけど、生きる強さを歌で表現したいの」

 言葉が持つ力を信じ、全身全霊で歌声を届けていく。(加茂 伸太郎)

 〇…5日から11日まで東京・目黒シネマでは「志穂美悦子が志穂美悦子を観る、語る」が開催される。女優時代の出演作「宇宙からのメッセージ」(1978年)などが上映予定。志穂美さんは「鬼無里まりで(シャンソンの)活動をし始めたら、志穂美悦子時代の映画の話がすごく来るようになったの。これまでは(女優の時代を)封印していた。扉を閉めて開かなかったけど、今、20代の私自身に会いに行っている。頑張っていたなと。いい時代を生きさせてもらったな」と懐かしんだ。

 〇…志穂美さんは、6月20日に老衰のため死去した美輪明宏さん(享年91)について語った。初めて会ったのは2014年、NHK紅白歌合戦。長渕が美輪さんの楽屋を訪ねた際に同行した。翌年から美輪さんの恒例コンサートに2度ほど、足を運んだ。「戦争と平和に関する歌を歌われていて、すごく心をつかまれた。私も(シャンソン歌手として)歌うようになって、美輪さんのスピリットは大きかった。いつかお会いできればいいなと思っていましたし、自分がこうして歌うようになってから(改めて)お伺いしたかった」と惜しんだ。

 ◆志穂美 悦子(しほみ・えつこ)1955年10月29日、岡山県生まれ。70歳。ジャパンアクションクラブ(JAC)から女優デビュー。主な作品は「二代目はクリスチャン」「男はつらいよ 幸福の青い鳥」。芸名の「鬼無里」は長野市内にある地名で、コロナ禍前に訪れた思い出の場所。「まり」はレギュラー出演した特撮番組「キカイダー01」の役名から。