脳科学者の茂木健一郎氏が自身のYouTubeチャンネルで「人工超知能、ASIが計算するものは何かについての人間の予感、そして直観。」を公開した。動画では、汎用人工知能(AGI)や人工超知能(ASI)の進化を踏まえ、AIが到達する未知の領域と、人間の脳が持つ「直感」や「予感」という知性の本質について語っている。

茂木氏は動画の冒頭で、人類の能力を上回るAGIから、さらに人類未踏の領域へと達するASIの可能性について言及。「ASIができた時に何を計算させるかというコンセンサスはまだない」と指摘した。その上で、現時点でもAIが過去の物理学の理論を再発見したり、著名な数学者ポール・エルデシュの予想を覆したりするなど、すでに新たな検証が行われている背景を説明している。

さらに茂木氏は、人間の脳の特殊な能力に着目。「問題をよく理解できない時にも、何かそこにあると感じる能力がある」と語り、アインシュタインが15歳で光のスピードについて思索を巡らせ、のちの相対性理論へと繋がったエピソードを紹介。「直感や予感が探求の方向を決めてきた」と、人間の知性が持つ特性を高く評価した。

また、話題はAIによる芸術や文学の生成にも及び、ドストエフスキーの『罪と罰』やメルヴィルの『白鯨』などの名作に触れた。これらが傑作と呼ばれる理由は「文字列の向こうにある何かの世界を予感させていて、そこへの運動の途中にあるからだ」と述べ、テキストの表面的な理解にとどまらない「予感」の重要性を説いた。与えられた課題を解く「検証可能な知性」と、未知の方向を示す「直感」の違いを浮き彫りにしている。

最後に茂木氏は、ASIが将来的にどのような方向へ向かうのかについて、「今すぐ明示的に捉えられないとしても、ある程度把握できるものになるのではないか」との見解を示した。人間の直感とAIの進化が交差する未来に対し、「知性の最も面白い性質の一つ」と期待を寄せ、人工知能と人間の関係性をめぐる深い思索で動画を締めくくった。

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