2回、岩木山を背に力投する先発の戸郷(カメラ・小林 泰斗)

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◆JERAセ・リーグ 巨人3―4ヤクルト(30日・弘前)

 「けっぱれ、けっぱれ戸郷!」―。弘前のファンから注がれる声援に背中を押された。1点を先制して迎えた6回。先頭から連打を浴びるなど1死二、三塁。古賀の二ゴロの間に三塁走者が生還し、肩をガックリ落とした。それでもすぐさま切り替えた。代打・塩見をこの日の最速150キロで中飛。「自分で打って走った大事な1点を簡単にヒット、ヒットでいかれたというのはありますし」と悔しさから口元をグラブで隠しながら絶叫したが、勝ち越しは許さなかった。

 6回の大城の勝ち越しソロで7回118球、4安打1失点で勝利投手の権利を持って降板。味方の失点で勝ちが消えたが「僕も点を取られましたし、中継ぎの方にはいつも本当に感謝しかないので」と静かに受け止めた。最速150キロの直球にフォーク、スライダーで7Kで試合もつくり「自分の中で納得したピッチングはできた」と汗を拭った。打撃でも両者無得点の5回1死から左翼線への二塁打を放つと、その後、松本の安打と失策が絡み激走生還。打率も3割まで上昇した。

 青森入り前から「もちろんリンゴは食べると思います!」と心を躍らせていた。果物やスイーツが大好きな甘党右腕は、プロ入り直後はその偏食ぶりで、よく周囲を驚かせていたという。「昔はよくいちごにコーヒーとかに入れるスティックシュガーを8個ぐらいかけて食べてたの。ジャリジャリしておいしいんだよね。でもそれも今はやらなくなった」。チームを背負う存在へと成長するにつれて、体により気を使うようになった。「これを食べたらどうだとか繊細になってきている。お金をもらってジャイアンツのユニホームを着て野球をやっている以上、それは大事なこと」。アスリートとしての自覚が備わった。

 弘前のファンへ勝利を届けることはできなかったが、投打での全力プレーはファンの心へ届いたはずだ。(水上 智恵)