【写真:徳原隆元】

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ブラジル戦で若手はチャンスを得られなかった

 森保一監督率いる日本代表は現地時間6月29日、アメリカ・テキサス州ヒューストン・スタジアムで行われたFIFA北中米ワールドカップ(W杯)決勝トーナメント1回戦のブラジル戦で1-2の敗戦を喫した。

 残り1分で勝ち越しゴールを奪われ、大会はベスト32で幕。カタールW杯から4年、全てを懸けて臨んだ一戦が終わった。ここから始まる次へのステップ。だが、待ち受けるのは”茨の道”だ。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・W杯取材班)

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 視線がボールに集まった。無情にもネットが揺れた。こだまする大歓声が遠くに聞こえる。1-1の後半アディショナルタイム6分、ブラジルの決勝点が決まった。前半29分にはMF佐野海舟が中盤でボールを奪い、自ら運んでシュート。“王国”から先制点を奪った。後半11分に追いつかれ、相手の猛攻を耐え忍んでいたが、ラスト1分で無念の逆転を許した。

 課題が露呈した。後半21分、森保監督が動いた。MF堂安律に代わってDF菅原由勢、MF中村敬斗に代わってDF鈴木淳之介が投入された。さらにMF田中碧、FW町野修斗、FW小川航基が途中出場。町野は大会初出場だった。対する相手が切った交代カードはプレミアリーグ・アーセナルのFWガブリエウ・マルティネッリら。最後はそのマルティネッリに試合を決められた。所属クラブだけでは語れないが、MF久保建英やMF三笘薫、MF南野拓実らを負傷で欠いた穴は大きすぎた。選手層の薄さは顕著だった。

 現時点では4年後へのビジョンが明確に描けない。8年間、森保ジャパンを支えてきた東京五輪世代は2030年W杯で30歳を超える。カタールW杯後は今大会に向けて踏み出すことができた世代だったが、FW上田綺世が「次の大会とかそういうのは、あんまり僕は考えてない」と話し、MF堂安律も「今は、ちょっと。相当な熱量が必要なことは分かっている」と話すにとどめた。何より、同世代を脅かす次世代の台頭が乏しいのが現状だ。

 今大会中、FW後藤啓介やFW塩貝健人、MF鈴木唯人らの“急成長”に期待が懸かった。主力の負傷が相次ぎ、回ってきたチャンス。ただ、現実はブラジル戦でベンチを温めた。得られなかった信頼。象徴的だったのが3日前の練習だ。

 グループステージ第3節スウェーデン戦(1-1)から一夜明けのこの日、試合に出場した選手はホテルでの調整のみ。ピッチに出てきたのは出場機会がなかった9人だった。温存だったDF冨安健洋とMF佐野海舟を除けば、重要なアピールの場。だが、ベースキャンプ地ナッシュビルのトレーニング場に響いたのは、名波浩コーチや長谷部誠コーチの「声出せよ!!」。盛り上げ役のDF長友佑都やDF菅原由勢はいない。スウェーデン戦で出番がなく、精神的な立て直しは難しいが、あまりにも寂しい練習だった。

 チームとしては成熟した。ベンチも含めた一体感は森保ジャパンでしか出せなかった。それは若手の力ももちろんある。ワンチームとしての“戦力”ではあった。それでも、上田や久保、堂安らの“ライバル”にはまだほど遠い。守備陣でも、今大会で2年ぶりの代表復帰を果たしたDF冨安健洋がブラジル戦でFWヴィニシウス・ジュニオール封じを任された。実績、実力ともに申し分ない冨安の先発に疑う余地はないものの、森保監督が頭を悩ませるほどの存在が頭角を現さなかったのも実情だ。

 森保監督は「現在」と「未来」の二軸を置いて8年間を駆け抜けてきた。だからこそ、主力負傷のアクシデントはあったものの、期待を込めて塩貝や後藤らロス五輪世代を招集した。第2期立ち上げ当初はパリ五輪世代を必ず選出。一方で、今大会はパリ五輪メンバーはゼロ。次世代へ繋ぐためにはこれまでの4年間に比べて、時間を要することになる。

 下からの突き上げという簡単な言葉では済まない。上田は「環境がもっと上、レベルが上がれば、おのずともっとレベルの高いことができるようになってくる」と指摘した。この4年間で積み上げ、描いたビジョンに続けるか。ここから先の歩みを止めるわけにはいかない。継承する人、継承される人。森保ジャパンの歴史を紡ぎ続けなければいけない。(FOOTBALL ZONE編集部)